ドナルド・トランプ次期米大統領は、長年の政策や伝統を刷新する考えを明確にしている。だが外国為替市場では、強いドルに恩恵があると過去20年にわたって宣伝してきた米財務省がこのマントラ(呪文)を捨てることを示す兆候は見当たらない。

  トランプ氏が次期財務長官に指名したスティーブン・ムニューチン氏は、前任者らのドルに関するスタンスを踏襲するかどうか明言を避けている。このため投資家やストラテジストは現状維持を見込んでおり、トランプ氏が公約した財政刺激策で再び活気づくドル相場への逆風が幾分弱まる可能性がある。

  強いドルは米国の利益に合致するという教義は、1995年に当時のルービン財務長官が提唱し始めた。強い通貨は健全な経済を反映するとともに為替損失の可能性を減らし、海外からの米国債需要を支えるとの見方がこの政策を根底から支えている。ドル高は輸入物価を下げるため米国の消費者を助ける半面、製造業者には輸出競争力の低下を招く。

  メルク・インベストメンツ(サンフランシスコ)のアクセル・メルク社長は「今提案されている政策の一部はドルにプラスだ」と述べ、ムニューチン氏が「強いドル政策に関して何も言わないなら、とりわけ次期政権の政策が判明するまでは、それほど悪くはないかもしれない」と語った。

  ムニューチン氏は11月30日のCNBCとのインタビューで強いドル政策について問われた際、支持も否定もせず、海外投資家が米国の資産に価値を見いだしていると指摘した上で「経済成長と雇用創出に集中することこそ優先課題になる」と述べていた。トランプ氏の政権移行チームにムニューチン氏のコメントを求めたが、返答はない。

原題:Mnuchin’s Silence on Dollar Policy Signals Rubin Mantra Lives On(抜粋)

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