米国の製造業全般を復活させることがどれほど難しいのか、ドナルド・トランプ次期米大統領は娘のクローゼットをのぞいてみれば、客観的な教えを受けられるはずだ。

Ivanka Trump, in a dress from her own line, at the RNC.
Ivanka Trump, in a dress from her own line, at the RNC.
Photographer: Daniel Acker/Bloomberg

  娘のイバンカ・トランプさんが率いる1億ドル(約114億円)規模のアパレルブランドは、GーⅢアパレル・グループという企業とのライセンス協定によって、アジアの複数の国で縫製されている。世界2位の経済大国である中国に貿易戦争を仕掛けると息巻く父親の政治的な面目は丸つぶれだが、イバンカさんにはこれ以外に利益をあげる方法はないのが現状だ。

  NPDグループのチーフインダストリーアナリスト、マーシャル・コーエン氏は米国のアパレル産業について、「この40年はとにかく生産設備の閉鎖という行動しか取らなかった。これを盛り返すのはたやすいことではない」と述べた。「やる気はなくもないが、行動が伴わない。コストがそうさせてくれない」と説明した。

  製造業の雇用を海外から取り戻すことを公約の柱の一つと位置づけているトランプ次期大統領は、空調大手キャリアと直接交渉し、メキシコへの雇用移転を一部撤回させている。しかし自身の名前を掲げるブランド、ドナルド・J・トランプのスーツやネクタイ、シャツも海外で製造されている事実は、そうした公約を守る難しさを浮き彫りにしている。

  イバンカさんのブランド、イバンカ・トランプのアビゲイル・クレム社長は国内での生産拡大に関する「対話に参加すること」に関心はあると電子メールで見解を述べた。

  トランプ次期大統領はかつて繊維・家具製造で栄えたノースカロライナ州グリーンズボロで10月に演説。国外へのアウトソースについて、「連中は雇用を得、工場を建て、現金をもらう。われわれが得るのは不法移民と麻薬だけだ」と述べていた。

原題:Ivanka Trump’s China-Sewn Line Turns Profit at a Political Cost(抜粋)

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