トランプ次期米大統領はユナイテッド・テクノロジーズに子会社キヤリアのインディアナポリス工場を閉鎖しないよう説得に成功したとして、勝利を喧伝している。だが米国の労働市場にはより包括的な戦略が必要だろうと、独アリアンツの主任経済顧問モハメド・エラリアン氏が述べた。

  エラリアン氏は2日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで「マクロ的な効果に関して言えば、これは拡張性のある政策ではない」と指摘。「こうしたミクロの介入を通じ、マクロの数字を大きく変えることはできない。マクロの政策も必要だ」と語った。

  キヤリアはメキシコに約1300人分の雇用を移すものの、インディアナ州の1100人前後の雇用は維持することで今週合意した。それと引き換えに同州から700万ドル(約8億円)の税控除など優遇措置を受けることになったが、サンダース上院議員ら複数の政治家は米国内での人員削減をちらつかせる企業への報奨金だと批判している。

  トランプ氏は選挙期間中、自らの政策で10年間に2500万人分の雇用が生まれると主張していた。ブルームバーグ・ビューのコラムニストも勤めるエラリアン氏は「その規模の雇用創出は難しいだろう。グレートリセッション以降に米国で創出された雇用は1400万人強だ」とし、潜在的に利用可能な労働力が「それほど多く残っていない」と述べた。

  トランプ氏は税制改革やインフラ支出、規制緩和により雇用を促す考えも示している。エラリアン氏はこうした政策はやるだけの価値があるとしつつ、教育改革や職業訓練の改善など幅広いアプローチの一部として実施されるべきだと呼び掛けた。

  2日発表された米雇用統計は項目の一部に期待を裏切るものも見られた。11月の平均時給は2014年以降で初めて低下。製造業従業員は前月に続いて減少した。

  「叫ばれ始めている重要な問題は雇用の質だ。単に数量の問題ではない。2日明らかになった賃金、失業者、労働参加率のそれぞれの数字は雇用の質という要素がきわめて重要であることを物語っている」とエラリアン氏は語った。

原題:El-Erian Says Trump’s Carrier Win Is Not a Scalable Jobs Policy(抜粋)

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