12月第1週(5-9日)の日本株は底堅く推移しそうだ。米国のトランプ次期大統領の政策期待を背景とした米長期金利の上昇と為替のドル高・円安基調が続いており、企業業績の改善期待から買いが入りやすい。ただ指数は年初来高値圏にあり、上げ幅は限定されそうだ。

ドル高・円安基調で企業業績に改善期待
ドル高・円安基調で企業業績に改善期待
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  米国では次期政権の人事が大詰めを迎えている。元ゴールドマン・サックス・グループ幹部のムニューチン氏が財務長官、資産家ロス氏が商務長官に起用されることが決まり、ゴールドマンのコーン社長は行政管理予算局(OMB)長官などのポストに就くとの観測が浮上している。金融関係者の相次ぐ起用に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は「金融市場にとって良い政策を行うとの期待が一段と高まる」とし、日本株は金融株中心に上がりやすいとみる。経済指標の発表は5日に米ISM非製造業景況指数などが予定されている。

  ストラテジストの日本株に対する見方は強気に変化している。ゴールドマン・サックス証券は17年末のTOPIXの目標値を従来の1400から1600ポイントに引き上げた。堅調なマクロ環境や一段の円安進行により16年度のEPS成長率を11%、17年度と18年度を9%と予想する。モルガン・スタンレーではグローバルのトップピックを米国株から日本株に変更した。シティ・グループ証券の飯塚尚己ストラテジストはリポートで、市場コンセンサスが強気になった場合、6月末までの株価調整局面で約8兆円売り越した海外投資家の買い入れ余地は6兆-7兆円残っている可能性に言及した。

  ただ、日本株は日経平均で1日に終値ベースでの年初来高値を付けたため、高値警戒感が出やすい。13、14日に米金融政策決定会合を控え、買い手控えムードも強まりそうだ。11月第5週の日経平均は前の週末に比べ0.2%高の1万8426円と4週続伸。米長期金利の上昇で日米金利差が意識され、ドル・円相場は1日に1ドル=114円80銭台と2月以来のドル高・円安水準を付けた。石油輸出国機構(OPEC)による8年ぶりの減産合意も日本株を支えた。

*【市場関係者の見方】
*明治安田アセットマネジメントの杉山修司チーフストラテジスト
「米国経済の堅調を受け世界的なリスクオンモードが続き、世界経済の先行き楽観が市場を支える。長期金利だけでなく短期金利もさらに上がる可能性があり、ドルは115円台への上昇も期待できる。市場センチメントは良く、円安進行で海外勢のポジション調整に伴う買いは続くだろう。イタリアの国民投票は、欧州中央銀行(ECB)が一時的にイタリア国債の購入を増やす用意と報じられるなど「EU離脱ドミノ」の雰囲気ではなく、日本株に大きな影響はもたらさないだろう」

*三井住友トラスト・アセットマネジメントの三沢淳一運用部門特別主管
「トランプ氏の政策期待を否定する材料は出ておらず、日本株には出遅れ感から買いが入りやすい。米国株は高値を更新中だが、日本株はまだ昨年の高値に届いていない。為替は1ドル=114円台を付けそろそろ警戒感が出やすい。トランプ氏の政策はドル高を好んでいないため円安が進みにくくなり日本株の上値は重い。ただ、投資家は足元の上昇に懐疑的で十分に買えていないため、潜在的な買いエネルギーは大きく下値は堅そう」

*大和住銀投信投資顧問・株式運用部の小出修グループリーダー
「日本株はまだ他国に比べて割安で、金融や商社などバリュー株に買いが入りそうだ。株価は為替の1ドル=114円をまだ織り込んでいない。今後アナリストの業績予想引き上げが相次ぐとみられ、買い意欲が高まるだろう。例えばトヨタ自動車では1円の円安で400億円の年間営業利益の増加が見込める。原油価格や米金利の大幅な上昇は米国株にリスクとして意識される面もあるが、日本銀行がイールドカーブをコントロールしている日本株では急激な金利上昇を考える必要がなく、相対的に資金が入りやすい」

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