2日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=114円前後で推移している。11月の米雇用統計やイタリア国民投票など重要イベントを控えて、持ち高調整のドル売り・円買いがやや優勢となった。

  午後4時2分現在のドル・円相場は前日比ほぼ横ばいの114円07銭。朝方に付けた114円19銭から一時は113円58銭まで下げた。その後は114円ちょうど近辺に戻している。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は同時刻現在、0.1%低下の1250.24。 

  マネースクウェア・ジャパンの工藤隆営業本部法人部長は、「ドル・円は昨日の安値を割り込んだことで、今晩の米雇用統計を前にした調整が進んでいる格好」と指摘。ただ、「この間の上昇でリバースノックアウトがトリガーされてしまった輸入企業の買いなどが予想されるほか、ドル・円にはまだショートの買い戻しがあるとみられる。このため、米雇用統計でよほどの弱い結果が出なければ、下値は限定的。113円前半がいいところかもしれない」とも述べた。

米ケンタッキー州のフォード工場で作業をする労働者
米ケンタッキー州のフォード工場で作業をする労働者
Photographer: Luke Sharrett/Bloomberg

  米労働統計局は2日、11月の米雇用統計を発表する。ブルームバーグ調査によると、非農業部門雇用者数は前月比18万人増加が見込まれている。10月は16万1000人増だった。平均時給は前年比2.8%上昇と前回から横ばいが見込まれている。

  上田ハーロー外貨保証金事業部の小野直人氏はリポートで、「非農業部門雇用者数が市場予想を下回っても小幅なら反応はほとんどないだろう」としながらも、「時給の動向が注視されるだろう。投資家の視線は米国の利上げスピードに移っており、今後のインフレ上昇の速さを判断する上で、時給結果がより重視される」との見方を示した。 

  1日の米国市場で長期金利は、一時11ベーシスポイント(bp)上昇の2.49%と2015年6月11日以来の高水準を付けた。一方、S&P500種は下落した。

  バンク・オブ・アメリカ外国為替本部の岩崎拓也営業本部長は、「米雇用統計の各社予想はあるが、イタリア国民投票を控えているので大きなインパクトになりにくい。イベントは全般的にネガティブになるか、そうではないという材料。ネガティブ要因になりそう」と指摘。「原油価格が上昇したが、リスクセンチメントは変わってきている。昨日、米金利は上昇したが、ドル、株がついてこなくなった」と言う。

  2日は米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事とタルーロ理事が講演する予定。米金利先物動向に基づきブルームバーグが算出した利上げ予想確率によると、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ実施がほぼ確実視されている。

  ダラス連銀のカプラン総裁は1日、テキサス州サンアントニオで記者団に対して、FOMCが金融政策を調整するにあたって、ドルを注視することが重要になると指摘。「当局は通貨に留意しなくてはならない、ドル高は金融政策を徹底的に考える上で考慮するべき要素」と述べた。

  バンク・オブ・アメリカの岩崎氏は、「カプラン総裁が行き過ぎたドル高に慎重な姿勢を示している。ドル高のネガティブな側面にも注意する姿勢」と説明。「新興国は通貨安でも商品高・株高に支えられていた。しかしリスクを意識して、原油相関や政治不安などで各国まちまちの動きとなっている。リスクセンチメントの悪化が気にされるところ」と述べた。

  新興国通貨では、トルコ・リラが対ドルで過去最安値を更新。ブラジル・レアルも大幅下落となり、前日に一時1ドル=3.4789レアルと11月11日以来のレアル安・ドル高水準を付けた。

  ユーロ・ドルは同時刻現在、0.2%高の1ユーロ=1.0678ドルで推移している。4日の憲法改正の是非を問うイタリア国民投票結果と政治情勢が注目されている。

  三井住友信託銀行NYマーケットビジネスユニットの海崎康宏マーケットメイクチーム長は、イタリア国民投票について、「今のところ市場はそれほど意識していないような感じがしている。これは結果が出てからでないと、なんとも言えない」と指摘。米国時間午前に雇用統計が出て、午後あたりからイタリア国民投票に向けて、「リスクオフというよりはポジションのアンワインド、株を売って、債券をショートカバーして、ドルを売ってというポジション調整はあるかもしれない」と語った。

イタリア国民投票
イタリア国民投票
Bloomberg

  ポンド・ドルは同時刻現在、0.3%高の1ポンド=1.2627ドル。前日は、英国のデービス欧州連合(EU)離脱担当相の発言などを受けて上昇し、一時1ポンド=1.2696ドルと10月6日以来の高値を付けた。バンク・オブ・アメリカの岩崎氏は、「ポンドは、デービス担当相発言で単一市場へアクセスできるとの見方が強まりポンド買い、ドル売りに寄与した」と述べた。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE