東京電力フュエル&パワーと中部電力が共同で出資した火力発電燃料調達会社のJERAは、液化天然ガス(LNG)の売り手が第三者への転売を制限するために買い手との間の契約に課している「仕向け地条項」の緩和や撤廃は、売り手を含めた業界全体に恩恵があるとみている。

  英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルや英BPといった大手の売り手は、最近のブルームバーグの取材で、仕向け地制限の緩和や撤廃はLNGの価格上昇という代償が伴うと警告していた。2016年4月にJERAの会長に就任したヘンドリック・ゴーデンカー氏は1日のインタビューで、そういった意見には「論理的根拠がない」とし、制限の撤廃によりLNGの物流がより効率化することなどから、業界全体が恩恵を受けるとの見解を示した。

ヘンドリック・ゴーデンカー会長
ヘンドリック・ゴーデンカー会長
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  同氏は「われわれは仕向け地条項について全く気にかけない多くの売り手と付き合っている。制限を設けないことで割増金を課されることもない。それは過去交渉された点ではない」と話した。

  今後数年の間に米国やオーストラリアで大型のLNG輸出事業が次々と立ち上がることが見込まれる中、LNG消費国の電力・ガス会社などは市場の流動性向上に向け、売り手側に仕向け地制限の緩和や撤廃を求めている。世界最大のLNGの輸入国である一方で過剰調達の可能性も指摘される日本では、契約に付与される仕向け地条項が自由な競争を阻害する恐れがあることから公正取引委員会が実態調査に乗り出すなど、売り手側への圧力を強めている。

  シェルのエグゼクティブ・バイスプレジデントのスティーブ・ヒル氏は11月24日のブルームバーグの取材に対して「買い手は最も安い価格あるいは最も高い柔軟性か、自分たちが一番必要としているものを優先させることができる」と指摘。その上で「かなりの優良顧客でなければ、最安値と最高の柔軟性を手に入れることはできない。なぜなら柔軟性はただではないからだ」と話した。

  LNG業界で20年以上の経験を持つゴーデンカー氏は、LNGの引き取り数量を追加的に増減できる柔軟性に関しては、売り手側に販売面でのリスクを負わせるものとしてその分コストが上がることに理解を示した。一方で、輸出港から消費地までの海上運賃や保険の費用などが買い手負担となる「FOB契約」では、契約から同条項を撤廃したとしても売り手に追加コストは発生しないとし、柔軟性獲得にはコスト負担が必要との一部売り手の主張に反論した。

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