日本銀行の桜井真審議委員は1日午前、大津市内で講演し、日本経済が低成長、低インフレから抜け出すためには、「魔法の杖(つえ)はなく、幅広い主体の粘り強い努力が必要だ」と述べた。

  桜井氏は、企業や家計に根付いた低インフレ・低成長見通しが「成長率や物価の上昇を抑制しているとの側面があるように思う」と述べた上で、物価や経済成長にかかる見通しが高まれば、「金融緩和の効果も一段と高まる」と指摘。政府、民間部門、日銀の三位一体での努力が実を結び、「経済の前向きな循環が強まることを期待している」と語った。

  日銀は9月、マネーの量を操作目標としてきた従来の枠組みを修正し、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入した。量的緩和を早くから提唱していた元審議委員の中原伸之氏は同月のインタビューで、「レジームを量から金利に変えたということ自体、日銀内でリフレ派が敗れたということだ」と指摘し、リフレ派の岩田規久男副総裁、原田泰、桜井真両審議委員が反対しなかったことに疑問を呈した。

  桜井氏は講演で、「金利と量は表裏一体の関係にある」と指摘。新たな枠組みの下でも、「金利をコントロールするために、大規模な国債買い入れを続けていくことになる」と述べた。その上で、「引き続き量・金利の両面で金融緩和を続けていくというスタンスには何ら変わりがない」と語った。

  桜井氏は4月に審議委員に就任。審議委員としての講演は初めて。就任後、日銀のウェブサイトに掲載した経歴の誤りが国会などで取り上げられ、本人もこれを認めて釈明。日銀はその後、経歴を訂正した経緯がある。

原油高、円安は物価押し上げる

  午後の会見では、石油輸出国機構(OPEC)が減産で合意した後、原油価格が上昇したことについて、「一般論として言えば、原油価格の上昇は物価を押し上げる」と指摘。「これから少しずつ上昇していくのか、あるいは、多分これからそれほど大きく下がるという局面にはないのかもしれない」と語った。

  トランプ氏の米大統領選勝利後に急速な円安が進んでいることについては、「一般論として、当然、円安に振れれば物価上昇にもプラスの影響が来ることは間違いない」と指摘。その上で、「為替は安定していることが望ましい。なるべく大きな変動がない方がよい」と述べた。

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