1日の東京外国為替市場ではドル・円相場が一時9カ月半ぶり高値まで上昇し、1ドル=115円に接近した。前日の石油輸出国機構(OPEC)の減産合意や良好な米経済指標を受け、リスク選好の動きが先行。その後は週末に米雇用統計やイタリア国民投票を控えて、ドル高・円安が一服した。

  午後3時50分現在のドル・円は114円02銭前後。午前9時前には前日のニューヨーク時間に付けた高値(114円54銭)を突破し、一時114円83銭と2月16日以来の水準までドル買い・円売りが進んだ。その後は徐々に上値が重くなり、午後には113円84銭まで値を下げる場面が見られた。
  
  ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店の鈴木恭輔為替資金営業部長は、OPEC減産合意は事前にネガティブな報道が続いたためポジティブに作用したとし、「この上昇を買えていない人も多いとみられ、ドル・円は上がりやすくなっている」と指摘。115円トライが焦点となるが、「心理的節目という以外に要素なく、特に手掛かりなくてもモメンタムだけで115円乗せを達成する可能性もあるだろう」と話した。 

  OPECは11月30日、8年ぶりの減産で最終合意に達した。供給超過解消と市場安定への期待から、同日のニューヨーク原油先物相場は9カ月ぶりの大幅高。アジア時間1日の時間外取引では一時、約1カ月ぶりに1バレル=50ドル台へ上昇した。

スティーブン・ムニューチン氏
スティーブン・ムニューチン氏
Photographer: Albin Lohr-Jones/Pool via Bloomberg

  一方、トランプ次期米大統領が財務長官への起用を決めたスティーブン・ムニューチン氏は30日、米CNBCのインタビューで、経済成長率を現行のほぼ2倍に引き上げることを狙った経済政策の概要を明らかにした。税制改革を最優先事項にすることで雇用を拡大する意欲を示し、米国企業が海外で稼いだ利益の国内環流について一時的に税率を10%にする意向も示した。

  クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は、「大型減税やHIA(米企業の海外利益送金に対する優遇税制措置)を実施する意向を示したムニューチン氏の発言を聞けば、市場は相場の上昇スピードに警戒はしつつも、買いでついていきやすい」と指摘。ドル・円は、昨年6月高値から今年6月安値までの下落幅の61.8%戻しの115円60銭近辺が目先の上値めどになるとの見方を示した。

  ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、米供給管理協会(ISM)が1日発表する11月の製造業景況指数は52.5と10月の51.9から上昇すると予想されている。また、2日発表の11月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比18万人増が見込まれている。給与明細書作成代行会社ADPリサーチ・インスティテュートが前日発表した11月の米民間部門雇用者数は6月以降で最大の伸びとなり、同日の米国債市場では10年債利回りが9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い2.38%へ上昇した。

  ソニーフィナンシャルホールディングス金融市場調査部の為替アナリスト、石川久美子氏は「米指標は軒並み良いし、OPECも結局、減産で合意したし、ドル・円はいつ115円を抜けてもおかしくない」と指摘。週末のイタリア国民投票とリスク要因が完全になくなったわけではないが、今のところ「イベント前のポジション調整以外でドル売り要因がない」と話した。

  中国が1日発表した11月の製造業購買担当者指数(PMI)は51.7と、前月の51.2から上昇し、2014年7月以来の高水準となった。

  この日の東京株式相場は上昇し、アジア株もほぼ全面高。リスク選好の流れが強まる中、豪ドル・円相場は一時1豪ドル=84円台後半へ上昇し、約7カ月ぶり高値を付けた。また、ユーロ・円相場は1ユーロ=121円56銭までユーロ買い・円売りが進み、英国が欧州連合(EU)離脱を選択した6月24日以来の高値を更新した。 

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