黒い炭素繊維に包まれた高さ2メートルほどの立方体の前面には白いリングが輝く。石柱のようにも見えるが、来春発売予定の世界初の全自動洗濯物折り畳み機「ランドロイド」だ。ユニークな商品を開発するセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(東京・港区)の阪根信一社長は早くも次の夢に向けて新規株式公開(IPO)や合併・買収(M&A)も視野に入れる。

  セブン・ドリーマーズは11月、60億円の資金調達を行った。ランドロイドで共同事業をするパナソニックや大和ハウス工業、SBIインベストメントなどを引き受け手とした第三者割当増資で、昨年実施した1回目の資金調達(シリーズA)の15億2000万円と合わせると約75億円強の調達となる。今回の調達分はランドロイドの開発やマーケティングに充てる。

  同社は2014年に設立、これまでに炭素繊維製のゴルフシャフトや、睡眠時のいびきや無呼吸を緩和するシリコン製チューブなどを開発・販売してきた。そこに加わるのが自動折り畳み機だ。いったいこの会社は何をしようとしているのか。

阪根社長
阪根社長
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  阪根社長はインタビューで、製品がばらばらでシナジーがないように言われるが、「世の中にないモノを創り出す」という方針で一貫していると説明する。加えて、人々の生活を豊かにし、技術的ハードルが高いものに挑戦するのが同社のモットーで、「シーズ技術よりも、あくまでニーズありきで人々が求めるものをやる」という。詳細は明らかにしなかったが、阪根社長は「4つ目、5つ目のテーマも進み始めている」と話した。

次のテーマ準備

  こうした開発を実現するため、来年には3回目となる資金調達を予定しているほか、IPOについても阪根社長は「予定はしている。ある程度ターゲットはある。そんなに遠くない先」だと話した。野村証券がアドバイザーを務めている。

  ランドロイドはくしゃくしゃの洗濯物を一つずつつまみ上げて人工知能(AI)で画像認識し、種類ごとや所有者ごとに所定の棚に畳んでいく。お父さんのシャツはこの棚、という具合だ。阪根夫人の、こんな機械があったらいいなというつぶやきが開発の端緒だったという。画像認識ではサーバーに接続して照合するため高速通信環境が必要となる。難しい靴下の組み合わせなどは今後のソフトウエアのアップデートで対応する。価格は未定だが、これからは小型化や低価格化に取り組み、将来的には洗濯・乾燥・折り畳みの一体型機で30万円以下とすることを目指している。

ランドロイドの試作品
ランドロイドの試作品
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  05年からスタートした開発の過程で、「実現は無理」と辞めていった社員もいるという。今後は、毎日の洗濯を通して、どのようなユーザーが何色の服を好み、買ってもほとんど着ていない服は何かなどのビッグデータを集め、アパレルメーカーと新しいサービスをつくることもできるとしている。

ワクワク感

  阪根氏の創造性は事業家で発明家でもあった父親譲り。「新しいものを作るワクワク感を教えてもらった」という。そしてソニーやパナソニックが世界の家電の規格を決めていた時代を見てきた同氏には、日本の電機メーカーが白物家電から撤退する一方で、外国企業が新技術を持って家電市場に参入している現状が「許しがたい」と映る。

  家電の成長余地について阪根氏は「まだまだある」とし、日本発のイノベーションが世界を席巻する一端を担いたいと話す。成長戦略の中でM&Aは不可欠だとしたが、具体的な対象については言及しなかった。

  ランドロイドのプロジェクトコードは「モノリス」。SF映画「2001年宇宙の旅」に登場し、サルに道具の使い方を教えて進化を導いた「モノリス」から取った。「地球にないもの」を作ろうとの意気込みが伝わる。デザインも石柱のようなモノリスをイメージした。そんな阪根社長が考える次なる製品も、「地球にないもの」になる見通しだ。

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