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トランプ氏、対中通商政策で強硬姿勢取れば米多国籍企業の抵抗必至か

  • 大統領に就任すれば、強硬姿勢和らげるとの期待も
  • 自由貿易支持の業界団体に共和党有力議員が味方か

トランプ次期米大統領が選挙戦の公約通り、通商問題で中国に厳しい態度で臨むとすれば、同国だけでなく、もう一つの強敵に対峙(たいじ)することになるだろう。それは米国の多国籍企業だ。

  両国間で貿易紛争が生じれば、中国に計2280億ドル(約25兆6000億円)余りを投資してきたこれら企業の利害に関わる。過去の事例を振り返れば、米国の多国籍企業は通商問題で本国政府に抵抗したケースもあり、米中対立の場合、自社ひいては中国の利益を守ろうとするだろう。

  米中貿易紛争は世界中に波紋を広げる。アジア全域にわたる中国の広大なサプライチェーンに乱れが生じるとともに、ニューヨークであってもニュージーランドであっても、中国製消費財の輸出市場では価格面の混乱をもたらす可能性がある。

  トランプ氏は巨額の対中貿易赤字の削減に断固として取り組む構えだが、米企業は世界で最も急速に成長している消費者市場の一つである中国で、競合企業に押されることがないよう必死だ。

  「中国の未来を決める急所はここだ」という著書がある上海在住のジェームズ・マグレガー氏は、「米企業は猛烈なロビー活動を展開し、市場の動向もトランプ氏の注意を喚起することになるだろう」と指摘。「ボーイングや自動車各社、テクノロジー企業、農業コングロマリットが軒並み深刻な打撃を受けると市場が受け止めれば、これら企業の株価は急落するだろう」と語った。

  在中国米商工会議所など自由貿易を支持する業界団体には、米議会の上下両院を支配する共和党議員の間にも、有力な味方がいる。これら議員の多くは一部貿易協定の再交渉といったトランプ氏の提案を検討する意向だとしているが、自由貿易が自身の選出州や米経済全体に利益をもたらしてきた点も長らく認識しているとしている。

単独では決められぬ

  共和党上院ナンバー2であるコーニン院内幹事(テキサス州)は今月、記者団に対し、「わが州は全米随一の輸出州で、州経済が国内の他地域の多くよりも良好な傾向にあるのも偶然ではない」と指摘。財政委員会国際貿易小委員会の委員長も務める同院内幹事は、通商政策をめぐるトランプ氏の公約については、「あくまで会話だ。権力分立の仕組みにより、誰も単独で議題を設定することはできない」とし、議論の出発点にすぎないとの見方を示した。

  企業の間には、トランプ氏がいったん就任すれば選挙戦での強硬姿勢を和らげるのではないかとの期待がある。中国国際金融(CICC)は、同国からの輸入に45%もの関税が課される「公算は小さい」とした上で、実際に賦課されれば、対米輸出は21%減り、経済成長率は0.9%押し下げられる恐れがあると推計する。
  
原題:Trump Confronting China on Trade Risks Corporate Backlash (1)(抜粋)

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