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360%リターン求めコンマ秒の争い-中国・深圳のIPO銘柄めぐり

  • 午前9時15分の注文受付開始時刻狙い全国のブローカーが競い合う
  • 「ヒットストック」取引はタイミングが全て

世界株式市場で最も利益が確実とされる取引に挑もうとするなら、極めて正確な時計が必要だ。この取引には企業のファンダメンタルズやテクニカル分析は必要なく、タイミングが全てであり、1秒の数分の1の違いが360%の投資リターンと利益ゼロを分けるのだ。

  中国ではこの投資戦略は「ヒットストック」取引と呼ばれている。その対象は深圳市場の新規上場銘柄だ。

  全般的に取引が低調な中国株式市場において、自社の顧客に便宜を図りたい中国のブローカー各社は技術面で競争することとなった。公平な競争条件確保のため深圳証券取引所が6月に注文ルールを変更した後でも、ヒットストック取引熱は一向に冷める兆しが見えない。

Images of the Shenzhen Stock Exchange and General Economy

深圳証取の建物

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  交銀国際の洪灝ストラテジスト(香港在勤)は「これは常に利益を上げられる数少ない戦略の1つだ」とした上で、「トレーダーは深圳証取の新たな環境への対応策を見いだそうとするだろう」と指摘した。

  中国での新規株式公開(IPO)価格は米欧のように市場の需要で決まるのではなく、当局が定めるバリュエーション(株価評価)の上限が適用される。そもそもは個人投資家保護のためにバリュエーションを制限したのだが、結果的にIPO価格は極めて割安となり、上場後に株価が急伸することとなった。

  ブルームバーグと中国財経信息網(CFIN)の集計データによると、今年の中国でのIPO銘柄の株価収益率(PER)は全て23倍以下だったが、深圳総合指数の構成銘柄の中央値は68倍となっている。また深圳市場に新規上場した99銘柄全てが取引初日に値幅制限いっぱいまで上げた。

  IPOで最も大きな利益を得るのはもちろんIPOに当選した投資家だ。しかし中国のIPO配分システムの競争は激しく、CFINによればIPOの平均当選確率はわずか0.05%だった。ところがIPOに当選しなくてもトレーダーはヒットストック戦略という第2の手段に訴えることができる。

中国全土

  米国や香港市場ではIPO銘柄の上場初日の値幅制限がないため、IPO購入時の割安分がすぐに消失してしまう。しかし中国では上場初日に44%、その後は10%と1日の値幅制限が設定されているため、割安分が消失するまで日数がかかる。
  
  事情に詳しい関係者によれば、深圳証取は現地時間午前9時15分から注文を受け付けるが、6月のルール変更以降、ブローカーは証取までのデータ伝送時間を見越して、9時15分よりもわずかに早く注文を送ることが認められた。これにより、証取に地理的に近いかどうかに関係なく、全国どこからも同条件で争うことが可能になったという。

原題:World’s Most Reliable Stock Trade Sparks Race for 360% Returns(抜粋)

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