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トランプ次期政権、ドル高には「口先で押し下げ」も-ブラックロック

  • 次期米政権は貿易赤字にとても敏感-マテオスイラゴ氏
  • ドル相場が急騰する事態は想定されない

ブラックロック・インベストメント・インスティチュートのマルチアセット担当チーフストラテジスト、イザベル・マテオスイラゴ氏(ニューヨーク在勤)は、トランプ次期米政権が貿易赤字を懸念して「ドル押し下げの口先介入」に来年駆り立てられる可能性があるとの見方を示した。17日のインタビューで語ったもので、分かりやすく編集・要約した内容は次の通り。

米大統領選でのドナルド・トランプ氏当選に対する市場の反応をどう見るか?

  基本的に7月以降機能している周期的ローテーションの継続・加速と受け止めている。そのトレンドは金利上昇のほか、ディフェンシブ銘柄の下落と景気循環銘柄の上昇だ。それは、米国でようやくリフレが定着してデフレ懸念が解消し、人々が将来に一段と楽観的になりつつあるとのシナリオに合致する。

誰もが楽観的とは言えないのでは?

  このパターンから反応が外れているのは新興市場だ。極めて強力なファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に加え、中国をめぐる懸念の後退、過去数年の流出から非常に力強い流入に転じた資金動向などを理由に、米大統領選まではわれわれも市場も新興市場にとても強気だった。今でもこうしたファンダメンタルズは健在だが、トランプ氏が選挙戦で唱えてきた中国との貿易戦争開始や自由貿易全般の制限に市場はおびえている。

そうした懸念にはどの程度根拠があるか?

  誰もよく分からない。市場の反応はある意味でやや分裂気味と言える。トランプ氏が選挙戦で掲げた課題では、特に税制改革や財政刺激策、規制緩和全般など短期的に成長にプラスとなる一連の政策ポジションがあり、このため市場はそれに前向きに反応した。しかし、移民制限や貿易障壁など、短期的にインフレを高進させ中長期的には成長にマイナスとなる政策案がある。先進国市場の反応を見るとこの部分を無視したと受け止められるが、新興市場はそうでない。

トランプ次期大統領は2017年の成長見通しにどう影響するか?

  米国の潜在成長率は恐らく2%を下回っているという小さな問題がある。4%に達するには2%相当のインフレが必要だ。これは少なくとも長期金利の上昇を意味し、米金融当局は幾分ハト派的のままだとしても、短期金利も上昇する可能性がある。追加利上げがあるのはほぼ確実で、問題は当局が12月にどうするかというよりも、17年の利上げ回数が2回なのか、3回か、それとも4回なのかというものだ。

来年4回の利上げの可能性は?

  大統領選前は、利上げがあるとすれば2回だろうと、大半の人々が考えていた。だが、トランプ氏の政策案がインフレを招く可能性や、過熱に近づいている労働市場、アトランタ連銀調査で3.9%と、10年ぶりの高水準となっている賃金の上昇などを踏まえれば、インフレ到来を目にし始めるだろう。金利は全体的に上昇していくので、債券投資には問題とならない。株式にとっては大問題だ。価格決定力を持つ企業には行動の余地があるだろう。一般消費財以外の製造業を中心に、他のセクターでは、こうした要因による価格押し下げが引き続き見られるだろう。

どのようなポジションを取るか?

  金利上昇が鍵を握る。デュレーションは軽めにしたいだろう。循環的なリフレの恩恵を受けるものは全て厚めにしたいと望むだろう。このため、質が高めでデュレーションが軽めのクレジット、そしてバリュー株すなわち金融銘柄だ。

通貨についてはどうか?

  一般的には、ここで取り上げてきたような財政刺激策は金利上昇をもたらし、それはドル高につながる。その反面、日本の金融政策姿勢は米側のファンダメンタルズを増幅させる作用がある。ユーロ圏については、欧州中央銀行(ECB)が12月に何をするかにかかっている。ECBが同月に量的緩和(QE)の延長を発表するのかどうか分からない。その発表がなければ、市場には失望感が広がり、ユーロ高となっても意外ではない。

中長期的にはどうなる?

  半年から1年の中長期では、ドル高は貿易面では良くない。トランプ次期政権は貿易赤字にとても敏感だ。このため、次期政権の通商政策の一環として、為替相場がそれに取り込まれる形となり、少なくとも口先介入でドルを押し下げようとするか、それ以上の働き掛けがあるかもしれないと考えるのはとっぴな想像ではないだろう。従って、ドル相場が急騰する事態は想定されない。

米金融当局ではどんな変化が予想されるか?

  トランプ氏は誰かタカ派の人物を起用したい考えとも見受けられるが、現実的政治の観点からは意味を成さない。

原題:Trump Administration May ‘Talk Down’ Strong Dollar: BlackRock(抜粋)

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