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【インサイト】トランプ氏の1兆ドル政策が導くユーロの暗黒時代

ドナルド・トランプ氏が世界的な債券売りを引き起こせるなら、ユーロ相場にも嵐が吹き荒れるはずだ。ユーロはすでにドルに対して導入以来最長の連続下落を記録し、約1年ぶりの安値に達した。下落基調が続き、経済の現実がようやく為替相場に反映されるのは時間の問題だろう。

  米欧景気の格差は、金融政策のかい離が顕著に物語る。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、12月の利上げをほぼ確言した。その根拠はトランプ次期米大統領が計画する1兆ドル(約111兆円)のインフラ投資と米成長率4%を目指す政策だ。大規模な歳出拡大はそれだけでも持続的なドル高を支える。一方で、これはユーロ安を意味する。同時に米国の成長が加速すれば、金融危機から8年がたっても景気が回復しない欧州の不調がいっそう浮き彫りになるだろう。

  ECBのドラギ総裁は欧州経済の回復は持続的なインフレ上昇をもたらすほど強くはなく、金融政策による支援が今後数年にわたり必要だろうと述べている。つまり、ECBの債券購入は月購入額の増額がないまでも、終了の目安とされた来年3月を超えて延長されるということだ。近い将来のテーパリングは論外だろう。その上、欧州には協調した財政出動の兆しもない。

  もう一つのユーロ安要因は、米企業が海外での利益を本国に回帰させることを促す税制についてのトランプ氏案だ。これは企業にドル買い・ユーロ売りを促す。懸念されるのは、企業の先手を打とうとして外為市場が混乱に陥るリスクだ。

  強いユーロが通貨同盟の存続に必須だと主張してきたドイツ連邦銀行は、ECBに行き過ぎたユーロ安を阻止するよう行動を迫るかもしれない。しかし一方で、イタリアのレンツィ首相が改憲を問う12月の国民投票で敗れれば、その結果としての不透明感が大きなユーロ安要因になる。

  そういうわけで、ユーロは17年かけて一周回って導入直後の水準に戻るのかもしれない。
  

原題:Dark Days for the Euro Await in Trump’s $1 Trillion Plan: Gadfly(抜粋)

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