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OPECの原油減産、正式合意に達しない極めて現実的なリスク

  • サウジは「4本柱」を中心とした協調減産を目指している
  • イランとイラクが問題に、ロシアの参加も不透明

石油輸出国機構(OPEC)は、2008年以来となる減産に向けた正式合意に近づいていると表明している。減産が実現すれば2年半に及ぶ原油価格下落が止まる可能性がある。ただ、OPEC加盟各国の動きはそうした見方とは相いれない。OPEC総会を30日に控え、正式合意をめぐる見通しをまとめた。

計算式は頼りにならず

  減産を下支えする単純な計算式は、OPECの昨年12月と今年6月の総会では頼りになるとみられていた。当時の原油価格は大半の加盟国の財政の損益分岐点を大幅に下回っていた。現在では、1バレル当たりの価格を2.5ドル(約280円)押し上げ、OPEC加盟国全ての財政状況を改善するには、日量150万バレル(5%)の減産が必要になる見込みだ。価格が5ドル上昇すれば1日当たりに生産される原油の価値は計約1億ドル上昇する。

  OPECはこれまでこうした減産は実施しなかった。なぜなら、世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアが世界市場における自国のシェアを保護する政策を取り、特に増産が進む米国のシェールオイルなど他国の高コスト生産者に圧力をかけていたからだ。サウジは世界の供給過剰だけに対処するわけではないと主張していた。

「4本柱」

  OPECは9月28日にアルジェリアの首都アルジェで開いた会合で減産に合意し、今月30日にウィーンで開く総会での正式合意を目指している。OPECは日量3250万-3300万バレルへの減産を示唆。最近の月報によれば、OPECの10月の産油量は同約3360万バレルだった。

  アルジェ会合で明らかになった最も重要な問題は、サウジのアプローチが実際に変化したのか、もしそうならどの程度か、ということだ。現在、サウジはOPECの政策は次の4本柱を中心に構築されることを望んでいるとみられている。それは、OPECの行動は協調して実施され、公正で、透明性が高く、市場の信頼を得なければならないということだ。

  これはサウジが、イラクは減産を実施すべきであり、イランは生産を凍結する必要があると考えていることを意味する。イラクはOPEC2位、イランは3位の産油国で、OPECの供給の伸びを主にけん引している。

  英コンサルタント会社ペトロリアム・ポリシー・インテリジェンスのビル・ファレンプライス最高経営責任者(CEO)は「サウジは迷っている。サウジが行う必要のあることはかなり単純だが、この段階で信頼性が相当欠如しており、積極性はあまり見られない」と指摘した。

OPEC非加盟国の役割

  依然として明確でないのは、サウジ自身が減産を実施する場合、特にロシアなど非加盟国がどの程度減産に参加するか、あるいは非加盟国の参加が交渉を難航させる一因になるのか、ということだ。サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は10月19日、「多くの」非加盟国が減産を実施する用意があると述べた。

  しかし実際には、大幅に減産を実施するOPEC非加盟国はほぼ皆無と予想される。ロシアの産油量はソ連崩壊後としては高水準となっており、減産より増産凍結を支持する考えを示している。米国とカナダが参加する可能性は薄い。減産が実施されて原油価格が上昇し、OPECの減産による効果を相殺するために売却量が増えれば、これらの国々は恩恵を受ける可能性もある。
  
原題:The Very Real Risks That OPEC Won’t Cut Crude Oil Production(抜粋)

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