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日本株強気入りの切り札はトランプ氏、米政策期待で来年2万円予想も

  • インフラ拡大と長期金利上昇を材料視、大統領就任まで上昇持続か
  • 減益予想の企業業績が一変も、海外勢の間で日本株見直し機運

日経平均株価がことしの安値から2割上げ、強気局面に入った。相場転換の立役者となったのは米国大統領選に勝利したトランプ氏で、同氏の政策が米景気を刺激、インフレに導くとの期待感が広がっている。市場関係者の間にも明るい見方が増え、2017年に向け2万円回復のシナリオが立ち始めた。

  日経平均は18日の取引を1万7967円41銭で終了、6月24日の年初来安値(1万4952円2銭、終値)からの上昇率は20%に達した。事前の予想を覆し、米大統領選の開票がトランプ氏優勢で進んだ9日は919円安と急落したが、勝利演説で過激な発言を控えたことで同氏の掲げる減税、インフラ強化など経済政策にスポットライトが当たり、翌日は1000円以上反騰した。その後も上昇基調が続き、10カ月ぶりに一時1万8000円を回復、TOPIXは昨年8月以来の7日続伸となった。

  クレディ・スイス証券の株式営業本部長、バジリアス・ダン氏は「トランプ氏勝利への市場の反応がこれほどポジティブになるとは誰も思っていなかった」と指摘。米国のインフラ支出の拡大観測やインフレ期待による長期金利の上昇、ディフェンシブからシクリカル銘柄へのシフトなどを材料に、「日本株のラリーは少なくとも1月の大統領就任まで続くだろう。市場は高揚感に包まれている」と話す。

President-Elect Donald Trump Meets With Japanese Prime Minister Shinzo Abe

トランプ氏との初会談を終えた安倍首相

Photographer: John Taggart/Bloomberg

  トランプ次期米大統領が財政の拡張で景気を刺激すれば、インフレが助長されるとの見方から米国債は売られ、10年債利回りは大統領選前の1.83%からことし最高水準の2.3%まで上昇。日米金利差の拡大を見込む為替市場ではドル買い・円売りの動きが強まり、18日には一時1ドル=110円90銭台と5カ月半ぶりの円安水準に振れた。10月の米住宅着工件数が9年ぶりの高水準となるなど米経済統計も堅調な中、金利先物市場が織り込む12月の米利上げ確率は96%に達している。

  ベアリング・アセット・マネジメントのアジア・マルチアセット責任者、キエム・ドゥ氏(香港在勤)は「世界景気の回復に円安が重なれば、日本の輸出企業に業績上方修正の可能性が見えてくる。日本株にとって極めて強気の材料になるだろう」と言う。

  みずほ証券リサーチ&コンサルティングの集計では、11日時点の東証1部3月期企業(金融除く1254社)の今期経常利益予想は前期比2.1%減と事前の1.5%減から小幅に下方修正。製造業を中心に、為替レートの前提が5月末時点の1ドル=110円20銭から104円77銭に円高方向へ見直された影響を受けた。しかし、実勢の為替水準と照らし、米澤忍シニアクオンツアナリストは「下期に自動車など輸出企業の業績回復が見込める」ため、増益浮上が可能とみる。

  需給面でも変化が起こりつつある。日本株の売買代金で約7割を占め、ことし1ー9月に累計で6.2兆円を売り越した海外投資家も、10月は4720億円の買い越しに転換。トランプラリーに入った11月2週(7ー11日)は4007億円買い越し、買越額は4月3週(5321億円)以来の規模に膨らんだ。ベアリング・アセットのドゥ氏は、「円安に伴い、10月から日本株の買い増しに着手した」としている。LGTキャピタル・パートナーズの熊田幹夫グローバルストラテジスト(香港在勤)は、「まだ決定事項ではないが、現在のニュートラルのポジションから日本株の買い増しを検討している。日本株市場の見通しが改善したことは確かだ」と話した。

経済成長とインフレ、円安で日経平均2万円へ

  メリルリンチ日本証券の山田修輔FX/株式ストラテジストは18日、17年の日本株に強気とし、日経平均は2万円を回復するとの見通しを示した。経済成長、インフレ加速、円安が日本株にポジティブで、米国の金利上昇時に日本株はアウトパフォームの傾向があると分析。インフレや金利上昇は、金融セクター内でも銀行、保険にポジティブとみる。トランプラリーが始まった10日から18日までの東証1部33業種の騰落状況をみると、上昇率1ー3位を銀行(22%)、証券・商品先物取引(21%)、保険(20%)が独占した。

  ちばぎんアセットマネジメントの加藤浩史シニア・ポートフォリオ・マネジャーも、米景気の拡大は世界の景気ベクトルが上向く最大の好材料で、世界株のブル相場は続くと予測。円安で来期は10%以上の増益が可能とし、来年の高値は2万円を超えると読む。

  一方、上期の決算発表が終了したタイミングから急ピッチで上昇基調を強めてきたことから、バリュエーション面では割高ゾーンに入ってきた。日経平均の予想PERは直近で15.1倍、ことしのレンジである12.6倍ー16倍の上限に近づいている。

  アセットマネジメントOneの浅岡均ストラテジストは、「バリュエーションのことを言い出すと、日本株は調整が必要ということになる」と指摘。ただし、円安が進み企業業績に好影響がもたらされることを踏まえれば、「現状のバリュエーションだけでは計れない部分がある。割高ではないという判断が出てくるかもしれない」と言う。

過去3年の日経平均株価と米長期金利推移
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