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IoT社会に必須の銅、来年末7000ドル回復も-国内最大手PPC社長

  • 銅相場急騰は投機資金による買い戻しが要因
  • 中国の製錬能力の拡大が「銅の世界の秩序を変える」可能性を懸念

銅の国際会議「カッパー2016」が神戸市で13日から16日まで開催された。国内外約30カ国から銅関係者750人を議長として迎えた国内銅製錬最大手、パンパシフィック・カッパー(PPC)の西山佳宏社長は「導電性の高い銅がIoT社会で必須であることは関係者の一致した見方。新しい需要が期待でき、今後も消費は伸びていく」と指摘。銅価格の見通しについては2017年末にも1トン当たり7000ドルを回復する可能性があるとの見通しを示した。

  ブルームバーグとのインタビューで述べた。米大統領選挙後に銅価格が一時6000ドル超にまで上昇したことについては「年内の銅相場は弱含みとの見方がそれまで大勢だったので、中国の経済指標の改善やドナルド・トランプ氏の勝利を受けて、売りポジションを取っていた投機資金が慌てて買い戻した」と分析。

  トランプ氏が公約に掲げる大型インフラ投資の実施については、時期や、どの程度の銅需要が生まれるかははっきりしておらず、相場への影響は「後付け要因」と指摘。売りポジションが解消された今後の価格動向に注目しているとして、年内の価格は5000~6000ドルの範囲で推移すると予想した。

  鉱石品位の低下などで、新規の鉱山開発は銅価格が7000ドル以上の水準でないと採算が取れないという。現在の相場では新規開発の投資は控えられ、原料となる鉱石供給量は抑制されている。一方、中国の需要回復などにより「18年はかなり銅地金の需給逼迫(ひっぱく)感が出てくる」として、来年は6000~7000ドルで推移するとみる。

中国の製錬能力拡大

  「カッパー2016」の基調講演でも銅需要に対する期待が示された。「銅がいかに重要な役割を果たすかは電気自動車を見れば良く分かる」と国際銅協会のアンソニー・リー会長。チリ鉱業協会のディエゴ・エルナンデス会長は、ガソリン車では1台当たり24キログラムの銅を使用するのに対し、ハイブリッド車では33キログラム、プラグインハイブリッド車では54キログラム、電気自動車になると94キログラムにまで増えると説明した。

  銅業界が抱える懸念に関して西山社長は、中国の製錬能力の拡大を挙げた。中国非鉄金属学会によると06年に300万トンだった同国の銅地金生産量は15年には796万トンにまで拡大。年率10%以上のペースで増強が続き、現在は世界生産量の35%を占める。ブルームバーグのデータによると中国は昨年、銅地金を300万トン以上輸入した。

  中国の過剰設備に伴う鋼材輸出の急増で市況低迷に苦しむのが鉄鋼業界。銅業界でも同様の事態を招く恐れもある。中国では新規参入者が銅の製錬所建設に乗り出しているといい、公的資金から補助金が出ていることなどから、必ずしも経済合理性を反映していないと、西山社長はみている。20年までは中国は銅地金の純輸入国であり続けると予想しているが、「仮に輸入量がゼロになったり、輸出し始めたりすると銅の世界の秩序が変わる」と懸念を示した。 

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