コンテンツにスキップする

大学基金も国債離れ、ICUはオルタナ半分で国債は「絶対駄目」

更新日時
  • 基金担当の新井理事はJPモルガンAM出身、リスク投資に注力
  • 新井理事:トランプ氏経済政策悪くない、すごい円高にはならない

世界的な低金利で日本の大学基金が運用難に苦しむ中、三鷹市にある国際基督教大学(ICU)の基金は、リスク投資に力を入れている。マイナス金利で投資妙味がないとして国債など国内債券には投資せず、私募リートやヘッジファンドなどの代替投資(オルタナティブ)に資金の半分を充てている。

  基金の規模は約450億円で、2015年度は2.8%(簿価ベース)の実現利回りを確保した。単純比較はできないが、15年度の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の収益率はマイナス3.81%。

  ICU卒業生で基金担当の新井亮一理事(52)は、取材に対し「国内債券は絶対駄目。買った瞬間にマイナス金利なので、損が確定する」と述べ、前年度から国内債は保有していないことを明らかにした。全体の半分を占めるのがオルタナティブ投資であり、中でも私募リートについては都心への人口集中やインバウンド効果などがプラス要因と分析し、12年度から投資していると述べた。そのほかには外国債券や国内外株を保有していると述べた。

  新井氏はJPモルガン・アセット・マネジメントのチーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)を経て、14年6月から現職。自らの退職金を株式運用して大きな利益を上げ、ICUへの寄付もしたところ大学側から基金の運用者を募集中と声をかけられたという。

大学も国債離れか

  世界的な金融緩和で超低金利が広がる中、日本の大学法人は預金や国内債券中心の運用のため厳しい状況に見舞われている。21世紀大学経営協会の調査(15年9月)によると、私立大学では7割が有価証券運用を行っており、うち国内公共債を保有する私大は約52%、国内民間債は49%と低リスクの運用が中心だ。

  大和証券ラップコンサルティング部のSMAコンサルタント・戸塚誠一氏は、マイナス金利を受けて「約半数の私大が国債を保有しているという割合は変わらないかもしれないが、これから新たに取得するという大学は減る可能性がある」と述べ、「低金利で大学の資産運用に変化の兆しが出てきている」との見方を示した。

  少子化で大学間の学生獲得競争が激しくなる中、ICUは教育研究予算の支援や施設整備に充てるため、基金運用を行っている。新井氏は「従来からリスクを取って運用している」と述べ、長期的な収益確保を目指し外部運用を15社程度に委託している。

  業況が経済情勢に左右され、流動性を重視せざるを得ない企業の年金基金などと違い、大学基金は将来の使途が計画的に決まっているため、「流動性が必要な資金の割合はあらかじめ分かっている」と新井氏は話す。その結果、流動性の低い分リターンの高い資産にも投資が可能であり、来年からプライベート・エクイティ(PE)への投資を始めるという。

トランプ氏の経済政策

  ドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝利したのを受けて、世界の金融市場は一時、大きく混乱したが、新井氏は「トランプ氏の経済政策は悪くない」と指摘。次期大統領が主唱する大規模減税やインフラ投資拡大について「先進国で財政的に景気を刺激する余力があるのはアメリカなので、それをアメリカがやるのはとてもポジティブだ」と分析する。

  また、こうした財政政策を推進すれば、財政赤字の拡大から「長期金利が上がっていくので、ドル高の方向に動く」と述べ、トランプ氏がドル安を望んでいたとしても、「すごいドル安・円高になるとは思わない」との見方を示した。

  トランプ氏が次期大統領に選出された9日はリスク回避の動きから、一時1ドル=101円台まで急速に円高が進行したが、その後は円安に転じ、15日の外国為替市場では6月以来の1ドル=109円台となった。

建学の精神

  ICUは戦後の1953年に建学。平和国家・日本の建設に向けて、米国のキリスト教関係者が設立に動き、日本の経済界もこれに協力した。当時の一万田尚登日本銀行総裁は全国の支店長に号令をかけて募金活動した。昭和天皇も寄付されたという。ゴルフ場に転用していた一部の土地を70年代に東京都に売却。その代金約500億円が基金の原資になった。

  ICUは授業の約3割が英語、外国籍教員比率は35%に達し、世界各地から教員が集まっている。最近では秋篠宮家の長女眞子様に続き次女佳子様も入学された。

(第8段落を追加して、更新しました.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE