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JAL:配当性向引き上げ検討、早ければ来期にも-株価上昇

更新日時
  • 配当性向30%まで引き上げ検討、前期は24.9%
  • 経営目標の達成にめどが立ち、株主還元を重視
斉藤CFO

斉藤CFO

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
斉藤CFO
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

国内航空会社2位の日本航空は、来期(2018年3月期)以降に30%まで配当性向の引き上げを検討している。2010年に経営破綻して以来、強固な財務体質の構築を目指してきたが、めどが立ったとして、株主への利益還元を重視する方針だ。

  「株主還元は基本的に配当で実施する。なるべく早く配当性向を30%にまで持っていきたい」と、斉藤典和最高財務責任者(CFO)が15日、ブルームバーグのインタビューで述べた。前期(16年3月期)は24.9%だった。実施時期については「早ければ来期にも実施したい」との見通しを示した。

  経営破綻後、12年9月に再上場。当初は、目標配当性向を純利益の15%程度としていたが、13年2月に20%程度に引き上げた。今期の配当はまだ発表していないが、25%での試算で1株あたり111円となる。斉藤専務は、一部株主から収益にかかわらず配当水準の下限を示してほしいとの要望も届いており、「検討したい」と述べた。今期を最終年とする中期経営計画では5年連続営業利益率10%以上と今期の自己資本比率50%以上を経営目標の一つに掲げており、達成が視野に入ったという。

配当性向
13年3月期20.1%
14年3月期17.5%
15年3月期25.3%
16年3月期24.9%
17年3月期未定

  株主還元として10月末に1500万株、300億円を上限とした自己株取得計画を発表。斉藤専務は、現在の株価は割安で放置されており「良くない」と話し、市場へ「メッセージを送る意味で実施した。今のフィードバックはポジティブだ」と述べた。さらなる自己株取得ついて「考えはするが、定期的に行うのではなく、数年かけ累積したキャピタルを株主にお返しするという意味で機動的かつ、フレキシブルに行いたい」とした。

監視期間終了へ

  国土交通省は、JALが国の支援で再生したことで「航空会社間の競争環境がゆがめられることがあってはならない」とした文書(8・10ペーパー)を12年8月10日に発表し、JALの新規投資や路線開設を監視下に置いている。監視は現在の中計期間の17年3月末までとなっており、この間、社外への出資や新規路線開設を行っていない。

  来期以降の中計について斉藤氏は「来年2月にも発表の見込み」として、財務関連では「営業利益率2桁目標を継続し、それに自己資本率は60%以上を目標としたい」と述べた。また、企業が事業活動で投じた資本に対し本業でどれだけの利益を出せたかを測る投下資本利益率(ROIC)も指標の一つとして注目しているという。

  監視がなくなる「17年4月以降、急にペースが変わるということはあり得ない」と話す。「採算がきちんと取れることを確認しながら、路線増や投資などをやる。既にIT関連などの案件では大規模投資を実施しており、来期以降に急に増えたりすることはないだろう」と述べた。

警戒

  ANAホールディングスは警戒している。片野坂真哉社長は「日航の監視期間が来年3月に終了することも十分認識している」と15日の会見で述べた。発言記録によると、「公的支援の在り方を巡って競争環境にゆがみが出たと思っている。今後も何らかの形での競争格差是正の具体的な措置を当局にお願いしたい」と話している。

  石井啓一国交相は「引き続き安全の確保を第一としつつ、航空会社間の健全な競争を通じて利用者利便の向上を図るという航空政策の基本的な考え方に立ち、適切に対応する」と10月18日に述べている。

  JALは今年、国交省から羽田空港の米国発着枠を昼間に配分された。米国東海岸に出発日の日中のうちに到着できる利便性の高い枠で、ANAHD傘下の全日本空輸は10月末からニューヨーク線を就航させている。斉藤氏は、今後の重点地域は米国と東南アジアだとして、ニューヨーク線は「日本の2社が飛んで競争するメリットのある路線」だとしながらも、「一つの路線候補として検討している」と述べるにとどめた。

  JAL株は16日午前の取引を終えて、前日比2.7%高の3277円となっている。

(5段落以降に詳細と株価を加えました.)
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