コンテンツにスキップする

黒田日銀総裁:TPP不成立なら「得べかりし大きなプラス失われる」

  • トランプ氏の勝利に「市場は歓迎ムード」、適切な経済運営を期待
  • 来春闘に「非常に注目」、賃上げの「十分合理的理由ある」

日本銀行の黒田東彦総裁は14日午後、名古屋市内で会見し、環太平洋連携協定(TPP)に反対を明言してきた共和党のドナルド・トランプ氏が米大統領選に当選したことで、もし不成立に終われば、「潜在的には得べかりし大きなプラスが失われる可能性がある」と述べた。

  黒田総裁はTPPについて「日本と米国が中心になって太平洋湾岸諸国が一体となって世界最大規模の自由貿易地域を作るということであり、TPPが成立すれば当然、非常に画期的であり、日本経済にとってプラスになるはずのものだ」と指摘。

Bank Of Japan Governor Haruhiko Kuroda Speech and News Conference

黒田日銀総裁

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  その上で、米新政権の政策はまだ分からないものの、もしTPPが成立しなければ、「それができれば非常に大きなプラスになったものが、できるかどうか分からなくなったという意味では、潜在的には得べかりし大きなプラスが失われる可能性があるという意味ではマイナスと言えるかもしれない」と語った。

   12カ国が署名したTPP発効には域内の合計国内総生産(GDP)の85%以上を占める6カ国以上が手続きを終える必要がある。安倍晋三首相は14日の参院特別委員会で「厳しい状況になってきた」との認識を示し、「わが国が意思を示すことができなけば、まさにこれはTPPは完全に終わってしまう」とも述べた。

安倍首相の詳しい発言はこちら

市場は歓迎ムード

  黒田総裁は会見でトランプ氏の大統領選の勝利について、「政策運営については私どもも十分承知しているわけではないので、先走ったことを言うのは適当ではない」としながらも、「これまでのところ市場は非常に歓迎ムードであり、米国株も大幅に上昇し、ドルも強くなっている」と述べた。

  米国経済は「さまざまなイノベーションで世界経済を引っ張ってきたので、比較的順調な成長がさらに続いていくことを期待している」と述べるとともに、新大統領の下で「適切な経済運営が行われ、世界経済あるいは米国経済に好ましい影響を及ぼすことを期待したい」と語った。その上で、「まだ新政権発足まで2カ月強残っているので、今後とも政策運営の方向性やその影響は見ていきたい」と述べた。

  来年の春闘の動向については「非常に注目している」と指摘。「具体的な数字等を言う立場にはない」としながらも、高水準の企業収益や労働市場のひっ迫した状況から見て、「正規職員の賃金も上昇していく十分合理的な理由があるとみている」と述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE