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債券自警団からトランプ氏に告ぐ-油断すれば、成長戦略は実施不能に

  • 「米国を再び偉大な国に」計画は公的借り入れに依存
  • 米10年債利回り急騰は1990年代のクリントン政権時代を想起させる

トランプ次期米大統領の「米国を再び偉大な国に」する計画に対し、米国債市場は単純ながらも明確な警告を送っている。油断すれば、結局は高くつくというものだ。

  共和党候補だったトランプ氏は減税や移民制限、大規模インフラ投資の公約と大衆迎合的な発言によって大統領選で驚くべき勝利を収め、その後数日に米国の資金調達コストは誰もが予想しなかったような跳ね上がりを示した。米国債利回りは、米金融当局が資産購入を減らし始めることを市場が懸念した2013年の「テーパー・タントラム」以来の大幅上昇となった。

  利回り上昇の一因はもちろん、トランプ氏の財政拡大・成長優先の戦略と関係がある。インフレ加速を引き起こすとの見方につながるからだ。だが重要なのは、米国の債権者には公共投資を抑制させ、次期政権に資金面で実行できる提案とそうでないものの厳しい選択を迫る大きな力があるという事実を思い起こさせてくれることだ。1990年代のクリントン政権1期目に中間層の減税を含む野心的な計画を後退させ赤字縮小に取り組むようにさせたのも「債券自警団」だった。

  アリアンツ・インベストメント・マネジメントのマネーマネジャー、ジョン・ブレデムス氏は「トランプ氏は大規模な支出計画を掲げているが、それを賄う歳入はない」とし、「金利が上昇すれば、資金調達コストは上がり赤字は悪化する。どこかの時点で現実が物を言うようになり、多くの計画が実行できないようになるだろう」と述べた。

  詳細はまだ明らかになっていないが、トランプ氏の計画には個人所得の一律減税や、法人税率の35%から15%への引き下げ、1兆ドル(約107兆円)のインフラ投資などが含まれる。これら費用の一部は、企業が国外に持つ約2兆6000億ドルの本国送還を促すための一時的な10%課税で補うという。トランプ氏は移民対策でメキシコとの国境に壁を築くことも提案している。

  これまでのところ、1994年当時のクリントン大統領が直面したような10年債利回りの8%突破と同様の反応を債券自警団からトランプ氏が受けると示唆する向きはない。現在の借り入れコストがあまりにも低水準であるほか、海外からの米国債需要が非常に旺盛だからだ。

  それでも、状況は変わり始める可能生がある。今月8日の大統領選後の2日間で、10年債利回りは0.3ポイント上昇し2.15%に到達。週間ベースでの上げ幅は13年6月以来の大きさだった。ブルームバーグが調査対象としたアナリスト65人のうち、年末までに10年債利回りが2%を上回るとの予想は皆無だったのにもかかわらずだ。

Inflation Bets Soar

原題:Bond Vigilantes to Trump: Be Careful, It Could Get Very Painful(抜粋)

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