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【債券週間展望】長期金利は上昇か、トランプ期待継続でゼロ%に接近

  • 米長期国債利回りはしばらく上昇余地を探る展開か-岡三証
  • トランプ氏の失言が出たら金利低下促すリスク-マスミューチュアル

来週の債券市場では長期金利が上昇すると予想されている。米国のトランプ次期政権による財政拡大観測を背景とした株高・債券安の流れが継続し、日本銀行が誘導目標とするゼロ%に接近するとの見方が出ている。

  今週の新発10年物国債344回債利回りは、10年国債入札好調や米大統領選をめぐる不透明感を背景にした買いでマイナス0.085%と9月30日以来の低水準を付けた。しかし、トランプ氏勝利と共和党が上下両院で多数派を維持したことで、財政拡張的な政策が警戒されて米国債相場が大幅に下落すると、一時はマイナス0.025%と1カ月半ぶりの水準まで上昇した。

President-Elect Donald Trump And Vice President-Elect Mike Pence

トランプ次期大統領とペンス次期副大統領が共和党のマコネル上院院内総務と会談

Pete Marovich/Bloomberg

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「金利の上昇方向に違和感はない。10年金利がゼロ%に近づくリスクがある」と指摘。米国債相場について「サプライズな選挙結果でフラットニングのポジションがアンワインドされ、売りが売りを呼んでいる面もある」と言う。

新発10年債利回りの推移

  米10年国債利回りは大統領選後の2日間で30ベーシスポイント(bp)前後上昇し、2.15%程度と1月以来の高水準になった。インフレ期待指標である米10年ブレークイーブンレート(米10年債と同年限インフレ連動債との利回り差)は1.91%程度と昨年7月以来の水準に達した。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「米長期国債利回りはしばらく上昇余地を探る動きになるだろう」と予想。円債については「日銀の買い入れが相場を支える一方、金融緩和姿勢もすぐには変化ないと思われ、利回りの低下は見込みづらい」として、相場の上値が抑えられるとみている。

  一方、マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「ここまでの米金利の上昇はちょっとやり過ぎの感がある」と指摘。「米国債市場は揺り戻しで金利が低下するとみられ、円債にサポートとなりそう。トランプ氏から失言が出た場合も金利低下を促すリスクがあり気を付けたい」と言う。

  来週は14日に7-9月期の国内総生産(GDP)が発表され、3四半期連続のプラス成長が見込まれている。財務省が実施する入札では、15日に5年利付国債、17日に20年利付国債などがある。マスミューチュアル生命の嶋村氏は、「20年債入札は、現行水準で好需給にあり無難に通過」と予想。メリルリンチ日本証の大崎氏は「20年債はキャリーロールとプラス利回りということで、需要が集中しているような感じはある」と話す。

市場関係者の見方

◎メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジスト
*米国債はポジション調整が一巡すれば利回り上昇が落ち着く
*20年債入札を控えて調整が入る可能性
*長期金利の予想レンジはマイナス0.07%~ゼロ%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*主要国の債券相場は上値の重い展開
*5年債入札や20年債入札で投資家の需要を確認しながらの動き
*長期金利の予想レンジはマイナス0.07%~マイナス0.01%

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
*20年債入札は現在の金利水準で需要がどれだけあるか注目
*米12月利上げ観測で円安になれば円債にも多少の売り圧力
*長期金利の予想レンジはマイナス0.05%~プラス0.01%

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
*トランプ氏勝利の場合、財政出動でスティープ化というのはある程度イメージ
*円債、基本的には米金利の落ち着きどころを探っている
*長期金利の予想レンジはマイナス0.10%~マイナス0.01%
*T

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