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日本株続伸、金利高と米政策期待で金融、素材買い-朝高後は伸び悩む

更新日時
  • 米10年債利回りは10カ月ぶりに2.1%台乗せ
  • 日経平均半年ぶりに一時1万7500円、内需セクター軟調が重し

11日の東京株式相場は続伸。金利上昇による収益改善期待や海外金融株高が好感され、銀行や保険、証券、その他金融株など金融セクターが軒並み上げた。米国のインフラ投資の拡大期待から鉄鋼や非鉄金属など素材株に加え、為替の円安も追い風となった機械や海運株も高い。

  半面、情報・通信や食料品、小売株など内需、ディフェンシブ業種は下落。主要株価指数が前日急騰した反動売りも出やすく、取引終了にかけじりじりと値下がり銘柄数が増えた。

  TOPIXの終値は前日比1.93ポイント(0.1%)高の1378.28、日経平均株価は30円37銭(0.2%)高の1万7374円79銭。

  三井住友トラスト・アセットマネジメントの三沢淳一執行役員は、次期米大統領に決まったトランプ氏は「大統領選前まで政策実現の可能性が不透明と受け止められていたが、可能性を否定する材料もまだなく、選挙後は政策が実現した場合の良い面に焦点が当てられている」と話した。一方で、「今週いっぱいは関連業種とそうでない業種と二極化で極端な形での織り込みをしているが、マーケットが冷静になれば、相場の持続性に疑問符が付く可能性もある」と言う。

Japan Reaction to The U.S. Presidential Election Result

金融市場ボード前の歩行者

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  10日の米国債は下落。トランプ次期大統領は減税を実施し、最大5000億ドルをインフラに投じる方針を示している。景気てこ入れへの期待や財政赤字の拡大、インフレ率上昇の見方が広がる中、財務省が実施した30年債入札で投資家需要が低下したことも下げ要因となった。10年債利回りは大きく上昇し、10カ月ぶりに2.1%台を付けた。

  金利上昇を受け、10日のニューヨーク為替市場ではドルが続伸。ドル・円は一時1ドル=106円90銭台と、前日の日本株終値時点105円29銭から一段とドル高・円安が進んだ。きょうの東京市場では、106円20ー90銭台で推移した。10日の米国株は、トランプ氏による規制緩和期待や金利上昇を材料にゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースなど金融株が急伸、ダウ工業株30種平均は1.2%高の18807.88ドルと史上最高値を更新した。

  野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「米大統領選という一番の不確定要因を通過し、上下両院で過半数を占めた共和党はビジネスフレンドリー。実際の政策や閣僚名簿などで紆余(うよ)曲折はあろうが、ご祝儀相場になりやすい」とみている。長期金利の上昇については、「VIXが低下傾向などリスク回避の動きが出ていないことから、今のところ景気拡大策を市場がポジティブに受け止めている」との認識を示した。

  日経平均は一時、心理的節目の1万7500円を約半年ぶりに回復。TOPIXも約半年ぶりの1400ポイントに接近した。業種別のTOPIX押し上げ寄与度1位は保険、2位が銀行。岡三証券の森本敏喜エクイティ部長は、「クリントン氏勝利なら金融株は危ないとの見方があったため、投資家や投機筋は金融株のウエートを下げていたが、その思惑が外れ、ポジションを調整する中でショートカバーが入っている」と言う。

  もっとも、前日にTOPIX、日経平均が9カ月ぶりの上昇率を記録した後で過熱感も意識され、東証1部は下落銘柄が優勢。両指数とも一時はマイナス圏に沈んだ。相場の重しとなったのは通信や食料品などバリュエーションの高いディフェンシブ業種。10日の米国株市場では、金利上昇を背景に高バリュエーションのテクノロジー株が売られており、トランプ氏に関連するテーマ性にも乏しい内需ディフェンシブ株からは資金が流出しやすかった。

  証券ジャパンの大谷正之調査情報部長は、「日本株は午前に戻りめどとみられていた4月高値まで到達した。休日中にトランプ氏の日本に対する政策が出るかもしれず、週末を控えて利益確定売りが優勢」と指摘。また、米金利の上昇傾向は「新興国に向かっていた資金が米国に戻ることにつながる。インドネシア・ルピアの市場介入が伝えられるなど、新興国通貨に対するリスクも意識されている」との見方も示した。

  東証1部の売買高は33億9544万株、売買代金は3兆6151億円。値上がり銘柄数は784、値下がりは1115。取引開始時に算出された日経平均オプション11月限の特別清算値(SQ)は、ブルームバーグ・データの試算で1万7596円78銭と前日の日経平均終値を252円36銭上回った。

日経平均は半年ぶり節目回復
  • 東証1部33業種は保険、銀行、非鉄金属、証券・商品先物取引、海運、鉄鋼、その他金融、卸売、石油・石炭製品、機械など18業種が上昇。情報・通信や水産・農林、食料品、小売、電気・ガス、繊維、精密機器、サービスなど15業種は下落。

  • 売買代金上位では、クレディ・スイス証券がトランプ氏勝利で銀行セクターでは最も恩恵を受けるとした三菱UFJフィナンシャル・グループが大幅高。第一生命ホールディングス、野村ホールディングス、コマツ、太平洋セメント、東京海上ホールディングスも高い。肝硬変治療薬を開発・製品化する権利を米ブリストルに供与する日東電工も急伸。半面、KDDIやNTT、JT、明治ホールディングス、テルモのほか、決算失望の楽天は安い。
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