電子決済による買い物の「おつり」を自動的に積み立てて世界の金融資産で運用する-。フィンテック会社のウェルスナビはこんな日本初のサービスを開発中だ。若年層をターゲットに少額投資できる機会を提供し、将来の主要顧客に育てる狙い。3メガ銀や地銀との提携も視野に入れる。

  おつり投資はスマートフォンにアプリをダウンロードし、電子マネーやクレジットカード払いの端額を投資に回す。支払いを100円単位とし物品購入額を引いた99円以下を積み立て、500円単位で追加投資する。ロボアドバイザーによる投資判断で株式や債券など世界1万1000銘柄の上場投資信託(ETF)で運用する。

  ウェルスナビの柴山和久社長はインタビューで、来春にはこのサービスをスタートさせたいとし、「20代の若年層を主な対象に投資の魅力を伝えたい」と語った。同社には三菱UFJフィナンシャル・グループなど邦銀3メガ系のベンチャーキャピタルも出資。金融業界ではフィンテック企業への関心が高まっている。  

  金融庁は2016事務年度の行政方針で、少子高齢化が進む中で国民の資産を安定的に増大させることが重要とし、家計による長期の積み立てや分散投資の促進を掲げた。テクノロジーが進化する中、金融機関が顧客本位の良質なサービスを提供することを求めている。ウェルスナビの事業戦略はこうした流れにも沿う。

地銀にニーズ

  柴山社長は最初の提携先として住信SBIネット銀行が決まっているとし、三菱UFJ、三井住友、みずほなどの大手や地方銀行にも提携を拡大していきたい考えを示した。地銀には「少子高齢化で若年層との取引が薄く、そこを増やしたい」とのニーズがあるという。おつり投資の手数料は「未定」という。

  ウェルスナビは昨年4月に柴山社長が設立。これまでに三菱UFJキャピタルSMBCベンチャーキャピタルみずほキャピタルなどから約21億円を調達し、7月から一般向けにロボアドサービスを開始した。最低投資額100万円、海外ETFなどに分散投資し世界の成長率プラス2ー3%の収益率を狙う。手数料は投資額の1%。現在の年代別顧客層は30ー50代が92%を占め、20代は1%にとどまっている。

  金融広報中央委員会の世論調査によると、金融資産を持たない単身世帯は48.1%。中でも20代では59.3%に上る。また日本クレジット協会などによると、2015年の電子マネーの取扱高は前年比16%増の約4兆6000億円。現金に代わる他の決済手段ではクレジットカードも7.7%増の約49兆8000億円と増えている。

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