コンテンツにスキップする

太陽石油:南西石油買収で沖縄市場に参入-再編下でも独立経営を死守

  • ブラジル国営石油から石油基地買収、136億円で-改修費に100億円か
  • 3月末期限の高度化法対応、四国製油所の分解装置装備率向上も検討

太陽石油は、ブラジル国営石油会社ペトロブラスからの沖縄県の南西石油買収をてこに、同県内での石油製品の卸売り事業に参入する。石油業界で大手同士の合従連衡が進む中、国内で最も原油処理能力が小さい同社は自社製品の販売先を広げ独立経営の維持を目指す。

  太陽石油の加藤裕之取締役はブルームバーグの取材に対し、「どこかと一緒になろうという選択肢はない」と独立を貫く考えを示した。同社の石油製品販売の7割弱が業者間転売市場(業転市場)を通じた自社系列の給油所以外への販売だ。大手石油元売り間の再編の影響で業転市場の規模が縮小する懸念があるとし、沖縄県は同社にとって適正利潤を確保できる「チャンスのある場所」との見方を示した。

  太陽石油の四国事業所(愛媛県今治市)は四国唯一の製油所。これまでは沖縄を除く全国に向けて石油製品の販売を手掛けてきた。同社は入札を通じ、10月にペトロブラスから1億2930万ドル(約136億円)で南西石油を買収することで合意した。ペトロブラスの世界的な資産売却の一環だった南西石油売却の入札には、JXホールディングスや東燃ゼネラル石油、コスモエネルギーホールディングスなど大手石油元売りも応札していた。

  手続きの終了する12月には南西石油が保有する沖縄県内の西原製油所の原油や石油製品の貯蔵タンク36基(容量約150万キロリットル)などを引き継ぐことになる。南西石油は2015年4月に同製油所での石油精製を停止しており、現在は同県内向け石油製品の供給基地として活用している。

  太陽石油は今後数十億円から100億円程度を投じて西原製油所の精製設備を解体するほか、老朽化設備の改修を含む設備投資を行う。約10基ある原油タンク(同約100万キロリットル)のうち、老朽化していないものについては四国製油所の予備タンクとして活用することで原油調達の効率化も目指す。

機動的な原油調達

  加藤氏は「小さい規模の製油所が競争力を持つためには安い原油をしっかり調達できることが大事」と指摘。四国にある9基の原油タンク(同64万キロリットル)だけでは難しかった機動的な調達の可能な体制を整えコストを削減する。

  みずほ銀行産業調査部の山岡研一氏が経済産業省の7日の有識者会議で示した試算によると、日本の石油精製コストの9割が輸送費を含めた原油調達コスト。同氏は国内石油元売り間の競争が厳しいことから、海外勢と比べると原油から石油製品を精製することで得られる利益の変動性が高いと指摘した。

  太陽石油は現在年200万キロリットル程度のガソリンを全国で販売している。南西石油取得後は西日本を中心に販売する体制にシフトするとともに、以前は年35万-40万キロリットル規模、沖縄県内のガソリン販売シェア6割を握っていた南西石油分の獲得を目指す。

  全国の石油製品需要は人口減や車の燃費向上などで減少の一途をたどっており、経済産業省によると、20年度までさらに年平均1.7%のペースで減少する見通し。国内では石油製品供給が過剰となる中、政府は国内石油各社が持つ製油所の競争力強化のため、14年のエネルギー供給構造高度化法の二次告示で、精製過程の入口にある常圧蒸留装置に対する分解装置の装備率を引き上げることを義務付けた。

  石油元売り各社は17年3月末までに付加価値の低い重油留分からより付加価値の高いガソリンなどの製品を精製するための分解装置の能力を引き上げるか、常圧蒸留装置の能力削減による装備率の向上を迫られている。

  太陽石油は14年3月末を期限とした第一次高度化法対応では流動接触分解装置(RFCC)の能力を日量2万5000バレルから同2万9000バレルに引き上げることで対応した。第二次高度化法では、沖縄への石油製品の販売増を想定してRFCCを増強するか、常圧蒸留装置の能力削減で対応を検討している。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE