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日本株9カ月ぶりの急騰劇、金融主導で全面高-金利上昇と円安を好感

更新日時
  • 日経平均は前日下げ分919円を埋める、心理改善で先高観も
  • トランプ次期米大統領の景気浮揚策に期待感

10日の東京株式相場は全面高、主要株価指数の上昇率は9カ月ぶりの大きさを記録した。米国大統領選でのトランプ氏勝利後の金融市場の混乱が早々に収束、米金利の上昇を受けた為替のドル高・円安進行もあり、企業業績の先行き期待が広がった。保険や銀行など金融株中心に東証1部33業種は全て上昇。

  TOPIXの終値は前日比75.19ポイント(5.8%)高の1376.35と反発、日経平均株価は1092円88銭(6.7%)高の1万7344円42銭と3日ぶりに上げた。ともに上昇率は2月15日以来の大きさ。

  アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長は、トランプ氏の政策が不透明だとされ、「きのうは想像し得る最悪のケースが株価に織り込まれていた」が、クリントン氏が敗北を認めトランプ氏が勝利宣言し、「選挙後の政権委譲がスムーズに進むとの期待から波乱要因が取り除かれたあたりで市場の風向きが変わった」と言う。米大統領選の通過でいったんイベント懸念はピリオドを打ち、「『トランプリスク』といったものが単なる幻想に過ぎなかったことが判明した」とも話した。

Tokyo Stock Exchange and Stock Boards As Japan Shares Dip With Banks As Volatility Returns to Markets

東証内

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  米大統領選を受け投資家心理が大揺れし、前日に日中下落幅が1000円を超えた日経平均は一転、きょうは1000円以上急騰した。トランプ氏勝利のシナリオを織り込み、日本時間9日午後に急落していた米S&P500種株価指数先物は、同日夕以降に下げ幅を縮小。この流れを受けた同日の米国株は、S&P500種株価指数が結局1.1%高と上昇して終えた。トランプ氏の勝利演説を受け、過度な政策懸念が和らいだ格好だ。

  9日の米国債は、トランプ政権と共和党主導の議会が歳出を拡大し、インフレ方向に向かうとの見方から急落。30年債利回りはここ5年余りで最大の上げとなり、10年債利回りは1月以降で初めて2%を超えた。米金利先物が織り込む12月の米利上げ確率は、トランプ氏勝利が確実となった時点で50%を下回っていたが、82%に上昇。きょうのドル・円相場は一時1ドル=105円90銭台を付け、前日の日本株終値時点101円78銭から大幅なドル高・円安水準に振れた。

  いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、「トランプ氏の勝利演説ではこれまでの発言のような極端な話は全くなかった。上下両院も共和党が過半数を占め、現実的な共和党の政策を踏襲する協調路線になるだろう」と予想。さらに、「財政拡大や減税など景気刺激策を打つことで経済が活性化するなら、米金利は上昇するとみられ、ドル高・円安を通じ日本株に大きなプラス」との見方も示した。

  また、アムンディの浜崎氏は「米国株はトランプ氏が大統領になったら大変だというような展開にはならないだろう。米企業の1株利益と新興国経済は底打ちしてきており、流れは株高」とみる。米国株が堅調なら日本株にも好影響を与えやすく、「米国の財政拡張により世界需要が押し上げられる上、為替のドル高も予想され、日本は円安と数量効果がダブルで出やすく、日本株は下値が切り上がっていく展開になりそう」と話していた。

  海外金融株高の流れが追い風となり、業種別では保険や証券、銀行が上昇率上位を占有。野村証券の尾畑秀一マーケットエコノミストは、「金融株はグローバルな長期金利上昇に反応している」とし、「リスクプレミアムが低下し、米長期金利が上昇したことは、1980年代半ばから続いた世界的な低金利トレンドの大転換を示唆しているのかということが今後大きなテーマになる」と指摘した。前日の米金融株の上昇も、「クリントン政権の場合、金融規制強化や巨大銀行の細分化などがリスクとみられていたのに対し、トランプ氏は規制緩和を主張していた」と分析する。

  TOPIX、日経平均は9日の下落分(TOPIX62.33、日経平均919円)を1日で取り戻した。東証1部の売買高は32億33万株、売買代金は3兆4126億円。値上がり銘柄数は1935、値下がりは48で、全体の97%が上昇。

米長期金利は2%乗せ
  • 東証1部33業種は全て上げ、保険、証券・商品先物取引、銀行、鉄鋼、鉱業、非鉄金属、不動産、ガラス・土石製品、機械、その他金融が上昇率上位。

  • 売買代金上位では三菱UFJフィナンシャル・グループや野村ホールディングス、第一生命ホールディングス、信越化学工業が1割以上急騰。トランプ氏のインフラ投資拡大は業績を押し上げると野村証券が指摘したコマツ、トランプ氏の外交政策から日本の防衛支出が拡大すれば、恩恵を受けるとされた三菱重工業も大幅高となった。半面、決算が失望された明治ホールディングスやコロプラは急落。
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