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トランプ次期大統領、公約実行に課題か-党内でも看板政策に賛同少数

  • 選挙戦では公約の具体的な中身や実行方法にほとんど触れず
  • メキシコ国境の壁建設、通商協定再交渉など実現は不透明

共和党候補ドナルド・トランプ氏の予想外の大統領選勝利は、オバマ大統領が後生に残すレガシー(遺産)の全面否定を意味する。次期共和党政権は米医療制度改革法(オバマケア)や通商協定を含むオバマ大統領の業績の多くを打ち消し、富裕層向けの減税を模索する公算が大きい。

Republican Presidential Nominee Donald Trump Hosts Election Night Party

米大統領選で勝利したドナルド・トランプ氏

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  トランプ氏の公約は多岐にわたる。だが、どのように実行していくか詳細をほとんど明らかにしていない。共和党は上下両院の過半数を維持したが、トランプ氏が議会の協力を得られるかは不透明だ。ライアン下院議長やマコンネル上院院内総務ら共和党首脳部は、メキシコ国境に壁を築くなどのトランプ氏の看板政策に賛同していない。

  トランプ政権の人事も不明だ。トランプ氏は親しい相談役を少数抱えるのみで、著名な共和党議員の多くはトランプ政権の要職に就く意思がないことを示唆している。

  トランプ政権の優先課題は以下の通りだ。

移民

  トランプ氏はオバマ大統領の積極的な移民受け入れ姿勢を否定し、強硬な移民政策を打ち出したことなどを原動力に共和党候補に上り詰めた。大統領就任の初日からまず移民制度改革を最優先に取り組み、移民管理の担当職員数を3倍に増やして犯罪歴のある200万人以上を本国に強制送還すると宣言している。

  ただ、正規の手続きを踏まずに米国内に滞在しているが犯罪を犯していない数百万人の移民を送還するのかについては、口を閉ざしている。

  メキシコ国境に壁を建設する計画では、トランプ氏は少なくとも一部をメキシコ政府に負担させると述べてきた。メキシコ政府は一切支払わない構えだ。

  さらにトランプ氏は安全保障の見地から、数カ国からの合法的な移民受け入れを無期限かつ完全に禁止する方針を示しているが、シリア難民の受け入れを停止すると述べた以外、具体的にどの国が該当するか明確にしていない。

通商

  トランプ氏は過去の通商協定が米国の製造業を衰退させたと批判、通商政策の大転換を約束している。

  これまでの公約によると、重要な同盟国を含む貿易相手国に強硬な姿勢で対処し、既存の通商協定の再交渉や撤廃を目指す。中国に対しては保護主義的な措置を講じるほか、為替操作国に認定し、世界貿易機関(WTO)に提訴して同国製品に新たな関税を課す可能性もある。

  トランプ氏が最も標的とする通商協定は北米自由貿易協定(NAFTA)だ。NAFTAはクリントン大統領時代の1993年にメキシコ、カナダとの間で結ばれたものだが、トランプ氏は米国史上最悪の通商協定だと呼び、大統領就任後すぐに再交渉に着手する意向。米国と環太平洋11カ国で合意した環太平洋経済連携協定(TPP)は破棄すると明言している。

税制

  トランプ氏が唱える減税は、共和党の伝統をほぼ踏襲した一律的な税率低下だ。連邦所得税の税率区分は現在の7つから3つに削減し、最高税率を33%に引き下げる。現在の最高税率は39.6%だ。

  税率の低い国への企業移転を阻止しようと、法人税率を現在の35%から15%に引き下げることも主張。米国企業が海外で稼いだ利益の国内環流について、一時的に税率を10%にする計画も支持する。

  ファンドなどの成功報酬に適用されるキャリード・インタレスト課税を撤廃する計画もある。これが実現すれば、ヘッジファンドのマネジャーらにかかる税負担は緩和される。相続税の廃止や育児費用の税控除なども求めている。

  保守系の税制調査団体タックス・ファンデーションによると、トランプ氏の減税で経済成長が加速する可能性を勘案したベースで、この減税で減少する連邦政府の歳入は10年間で少なくとも2兆6000億ドル(約275兆円)に達する。

  中道左派系のタックス・ポリシー・センターはこの歳入減少が6兆2000億ドルに上ると試算、減税による恩恵の約半分が1%の最富裕層に集中するだろうと指摘した。
  

原題:President-Elect Trump Faced With Turning Promises Into Policy(抜粋)

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