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11月9日の海外株式・債券・為替・商品市場

更新日時

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は 次の通り。

◎NY外為:ドルが大幅高、トランプ氏の勝利演説で懸念が和らぐ  

  9日のニューヨーク外国為替市場ではドルが上昇。ドル指数は英国が欧州連合(EU)離脱を選択した翌日の6月24日以来の大幅高となった。ドナルド・トランプ氏の勝利演説を受け、大統領選の予想外な結果に対する市場の懸念が和らぎ、アジア市場でのドル売りの流れが反転した。

  共和党が上下両院を制した議会とトランプ政権が歳出拡大で経済成長を促すとの見方から、ドルは主要通貨の大半や新興市場通貨に対して上昇した。米金利先物市場が示唆する12月利上げの確率は80%超に上昇した。トランプ氏の勝利が確実となった時点では50%を下回っていた。

  トランプ氏が勝利演説した午前3時前の時点で既に、ドルの回復は始まっていた。一時は逃避通貨とみられる円に対して3.8%下げていた。

  クレディ・アグリコルの法人・投資銀行部門でG10通貨戦略責任者を務めるバレンティン・マリノフ氏は「1月の大統領就任式まで政治リスクが高まりそうにないため、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合への注目が高まるだろう」と述べた。

  主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比1.4%上昇し、3月以来の高水準に達した。ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対円で0.5%高い1ドル=105円67銭。対ユーロでは1.1%高の1ユーロ=1.0910ドル。一時は2%余り下げる場面もあった。

  共和党が上下両院を制したこともあり、トランプ氏の勝利は米国政治の大転換になりドルに直接影響すると予想されている。不動産王のトランプ氏は貿易協定の破棄を公約し、中国を為替操作国と呼び、強いドルが米国の競争力を損ねていると主張している。

  スイスクオートの外為ディーリング責任者、ステファニー・マリー氏は「演説で市場は落ち着きを取り戻した。これまで奇抜で誇大妄想的なトランプ氏しか知られておらず、わたしも非常に攻撃的な演説を予想していた。しかし演説はプロフェッショナルで大統領らしく、意外だった」と語った。
  
  大部分のアナリストがトランプ氏勝利の場合は直後にドルが大幅安になると予想していたが、ジュリアス・ベアとランド・マーチャント・バンクは長期的にはドルは上昇するとみていた。減税や最大5000億ドルのインフラ投資などトランプ氏の公約がインフレ圧力となり、米国で金利が上昇し、ドルの魅力が高まるとの見方だ。

  ランド・マーチャントのジョン・ケアンズ氏は大統領選前に、トランプ氏の計画でアップルやマイクロソフトなど米国の多国籍企業が数十億ドルのオフショア資金を米国に戻し、最終的にドルの需要を高めると話していた。

  シティグループのG10通貨戦略のグローバル責任者、スティーブン・イングランダー氏は「しばらく未知の領域を進むことになりそうだ。資産市場の値動きや経済の動向がこの出来事が理由でどれだけさらに荒くなるか分からないからだ」と述べた。
原題:Dollar Surges Most Since Brexit After Trump Election Surprise(抜粋) 

◎米国株:銀行や重機が上昇-トランプ次期大統領の企業政策に期待

  9日の米国株は上昇。ダウ工業株30種平均は一時、最高値での取引終了に迫ったが失速した。この日は銀行や重機メーカーなどが買いを集めた。ドナルド・トランプ次期米大統領が企業に有利な政策を進めるとの観測が背景だ。

  ヘルスケア関連や銀行が上昇。投資家はヒラリー・クリントン民主党候補が勝利していた場合は規制当局による厳しい調査が行われるだろうとみていた。製薬のファイザーやメルクは急伸。JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループはいずれも上昇した。

  S&P500種株価指数は1.1%上昇の2163.26。ダウ工業株30種平均は256.95ドル(1.4%)高い18589.69ドル。ナスダック総合指数は1.1%上昇した。

  BMOグローバル・アセット・マネジメントのマルチ資産ソリューション責任者、ローウェル・ユラ氏は「基本シナリオは候補者としてのトランプ氏ではなく、より落ち着いたトランプ大統領となる可能性が高い。市場も同じ見方だ」と述べ、「短期的な企業利益や経済成長にはそれほど大きく影響しないだろう」と続けた。

  トランプ氏の勝利後は一時、世界的な株安や安全資産の上昇を招いたが、同氏が経済成長を押し上げるために財政支出を拡大するとの見方が広がると売りは反転した。また大統領選勝利後の演説がより懐柔的なトーンだったことも手掛かりとなった。CBOEボラティリティ指数は9日、23%低下した。これは過去5年間で最大の低下率だ。

  議会では共和党が過半数議席を獲得し、これにより企業寄りとみられる法律の制定が可能になるとみられているものの、トランプ氏が掲げる米国への移民取り締まりやメキシコなど自由貿易協定を結ぶ国との再交渉による影響に対して根強い懸念がある。

  S&P500種業種別11指数で金融は4.1%高、公益事業は3.7%下げた。トランプ氏の公約であるインフラ支出の拡大を見込んでユナイテッド・レンタルズやキャタピラーは買い進まれた。

  米金融当局による12月の利上げを織り込む確率はトランプ氏の勝利直後に50%を下回ったがその後は再び上昇し、8日午後の水準だった86%に戻した。
原題:U.S. Stocks Surge as Banks, Drugmakers Rally Amid Trump Victory(抜粋)

◎米国債:急落、30年債利回りは40年ぶり大幅上昇-トランプ氏勝利で

  米国債相場は急落。30年債利回りは少なくとも1977年以降で最大の上げとなった。トランプ政権と共和党主導の議会が、景気てこ入れに向けて歳出を拡大し、インフレをあおるとの見方が広がっている。

  現在の利回り水準に調整されたベースでは、1日の上昇幅はブルームバーグのデータでさかのぼれる1977年2月以降で最大。10年債利回りは1月以降で初めて2%を超えた。またインフレ期待を示す債券市場の指標は2015年7月以来の高水準に上昇。期間が長めの債券のパフォーマンスが短め債券を下回り、イールドカーブはスティープ化した。

  TIAAインベストメント・マネジメントのチーフ投資ストラテジスト、ブライアン・ニック氏は「思い出せる限りで最大の政治的サプライズに対する1日の反応だ」とし、「債券市場はインフレ期待の上昇の影響を受けている。インフレ期待は極めて低い水準から上がってきた。来年の財政政策はより拡大的なものになるとの観測が背景にある」と続けた。

  ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在の10年債利回りは前日比20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.06%。同年債(表面利率1.5%、2026年8月償還)価格は1 3/4下げて95 3/32。

  30年債利回りは23bp上げて2.85%。

  2年債と30年債の利回り差は19bp拡大して195bpと、終値ベースでは2月4日以降で最大。

  期間が長めの国債は、新たな供給も重しとなった。この日実施された10年債入札(発行額230億ドル)では、投資家の需要が2009年以来の低水準。10日には30年債入札(同150億ドル)が実施される。

  向こう10年間のインフレ期待を示す10年ブレークイーブンレートは1.85ポイントに上昇した。

  市場では、民主党候補ヒラリー・クリントン氏が勝利すればこれまでの政策がある程度継承されるとみられていた一方、トランプ氏に関しては未知の部分が多い。不動産王の同氏は、貿易協定破棄の方針を示しているほか、ドル高で米国の競争力が削(そ)がれていると指摘している。

  リアリティー番組の元スターでもあるトランプ氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長や議会指導者の批判もしている。先物市場に織り込まれる12月の利上げ確率は、トランプ氏勝利の公算が大きくなる中でいったん低下したが、その後は回復した。  

  プルデンシャル・ファイナンシャル債券部門の最高投資ストラテジスト、ロバート・ティップ氏は「市場は混乱している。貿易戦争への懸念が米国債価格に表れつつある」と指摘。「市場は不確実要素を好まない。市場に不安が広がれば、12月の利上げは脇に押しやられる可能性がある」と続けた。

  24時間取引される米翌日物指数スワップに基づけば、12月の利上げ確率は一時大きく低下して50%を割り込んだが、その後86%に回復した。
原題:Treasuries Plunge Most in Four Decades as Trump Spurs Selloff(抜粋)

◎NY金:ほぼ変わらず、トランプ氏勝利直後の大幅上昇を消す

  9日のニューヨーク金先物相場はほぼ変わらずで終了。米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利で米国の国際関係が塗り替えられ、米政策が予測不可能になるとの見方から利上げが先送りされるとの観測が強まり、金は一時大きく上昇する場面もあった。出来高は過去最大となった。

  精錬会社MKS(スイス)の貴金属トレーディング責任者、バーナード・シン氏(ジュネーブ在勤)は電話インタビューで、「今の取引はすべて金に集中している」と述べた。

  ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は前日比0.1%安の1オンス=1273.50ドル。一時は5%上昇した。
原題:Trump Win Sends Gold to Busiest-Ever Trading Day as Volume Jumps(抜粋)
U.S. Stocks Rise, Treasuries Fall as Trump Win Spurs Growth Bets(抜粋)

◎NY原油(9日):続伸、大幅安から戻す-トランプ氏の政策見極めへ

  9日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が続伸。一時は4.3%安まで売り込まれていた。米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が当選したことからリスク資産が売りを浴びたが、政策を見極めたいとの動きが金融市場全般に広がった。

  トータス・キャピタル・アドバイザーズ(カンザス州リーウッド)で石油関連資産150億ドルの運用に携わるマット・サリー氏は、「昨夜の夜中から状況は一変した」と話す。「市場はまだ選挙結果を解釈する過程にある。財政投入による景気刺激と減税、緩和的な金融政策は成長にとって好ましいとのコンセンサスが形成されそうだ」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物12月限は前日比29セント(0.64%)高い1バレル=45.27ドルで終了。一時は43.07ドルまで下げていた。ロンドンICEの北海ブレント1月限は32セント(0.7%)上昇の46.36ドル。
原題:Oil Advances as Trump Seen Pursuing Business-Friendly Policies(抜粋)


◎欧州株:反発、下げ消す展開-製薬株が買われる、トランプ氏勝利で

  9日の欧州株式相場は上昇。指標のストックス欧州600指数は一時の下げを消し、大幅高で引けた。米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、製薬銘柄と鉱業株が買われた。

  製薬株指数は2008年以降で最大の上げを演じた。デンマークのノボ・ノルディスクとアイルランドのシャイアーの上げが目立った。業績が予想を下回ったほか、最大の輸出先である米国でヒラリー・クリントン氏が当選すれば価格抑制策が講じられるとの観測からここ数週間は下げ基調にあった。非鉄金属と貴金属の値上がりを手掛かりに英豪系リオ・ティントなど鉱業株も買われ、業種別指数の中で上昇率首位となった。

  ストックス600指数は前日比1.5%高の339.81で終了。一時2.4%下げる場面もあったが上昇に転じ、3日間の上げ幅としては7月以降で最大となった。この日の出来高は30日平均を約68%上回った。

  こうした状況でも一部業種でリスク回避の動きが引き続き見られた。銀行株が安く、メキシコへの投融資の割合が大きいスペインのバンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)が5.7%下げた。メキシコで売上高の約10%を稼ぐベルギーのビールメーカー、アンハイザー・ブッシュ(AB)インベブは0.8%下落。利益の約20%を中南米から得るイタリアの電力会社エネルも相場の重しとなった。

  JPモルガン・アセット・マネジメント(ロンドン)で22億ドル相当の欧州株の運用に携わるスティーブン・マクロースミス氏は「中期的にはほぼ変化はないと言いたい」とし、「ファンダメンタルズに関心が戻る。景気回復は世界全体で続いており、極めて良い状態の米経済をトランプ氏は受け継ぐ。向こう3ー6カ月で、経済成長の回復や欧州企業の業績が改善する可能性に焦点が再び向かうだろう」と語った。

  西欧の主要株価指数の中で、ドイツのDAX指数は1.6%上昇。仏CAC40指数は1.5%、英FTSE指数は1%それぞれ上げた。一方、スペインとポルトガル、イタリアの株価指数は下げた。
原題:Industry Rift Widens on Trump as European Stocks Erase Declines(抜粋)

◎欧州債:イタリア債が下落-反体制旋風に見舞われるとの観測

  9日の欧州債市場ではイタリア国債が下落。ドナルド・トランプ氏を米大統領当選に導いた反体制旋風がイタリアに向かっており、レンツィ首相の進退がかかる政治改革法案が12月4日の国民投票で否決されるとの懸念が広がっている。

  ソシエテ・ジェネラルのロンドン在勤ストラテジスト、キット・ジャックス氏は顧客向けリポートで、「抗議票を投じるのが好きなら、有権者が従来の政治に飽き飽きしていることを表明する次の機会」はイタリアだと指摘した。

  ロンドン時間午後4時現在、イタリア10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.74%。一時は1.79%と、6月24日以来の高水準に達した。同国債(表面利率1.25%、2026年12月償還)価格は0.125下げ95.605。

  欧州債の指標とされるドイツ10年債利回りは2bp低下の0.16%。同国債に対するイタリア国債の利回り上乗せ幅(スプレッド)は157bp。6月27日以降最大となる167bpまで拡大する場面もあった。
原題:Italy’s Next in the Crosshairs for Anti-Establishment Wave(抜粋)

(NY外為、米国株、米国債を更新します.)
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