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想定外のトランプ氏勝利、既存政治に不満を抱く国民には強壮剤

米大統領選は多くの米国民にとっては想像もつかなかった結果に終わった。

  次期大統領はこれまで公職経験がない上、「お前はクビだ」という決めぜりふを使うリアリティー番組の元司会者。女性蔑視発言もためらわず、対立候補を刑務所に入れると豪語するこの人物が近く、米国の核のボタンを握ることになる。

  米国人の10人中6人はドナルド・トランプ氏を好まないと言うが、今回の選挙で重要だったのは別の数字で、米国が誤った方向にあると答えた有権者が3分の2に上っていた点だ。

Republican Presidential Nominee Donald Trump Hosts Election Night Party

勝利宣言に臨むトランプ氏

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  こうした見方を持つ国民の多くにとってトランプ氏は望ましい大統領で、米国に是が非でも必要な存在と考えられた。ワシントンの因習やポリティカルコレクトネスにとらわれず、小国に立ち向かうため米国の力を行使することも恐れない。そして何より、民主党のヒラリー・クリントン氏ではなかった。同候補は有権者の間では同じく不人気で、既存政治の象徴そのものだった。

  トランプ氏はクリントン氏に対してねぎらいの言葉を掛け、9日早朝の勝利演説で、団結を呼び掛けた。トランプ氏はニューヨーク市内のホテルに集まった支持者らに「今は米国民として団結すべき時だ」と語った。

  国境の壁の建設や不法移民の本国送還、多くのイスラム諸国からの入国禁止に加え、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に防衛費負担増加を迫り、米国を再び偉大な国にするというトランプ氏の公約は、同氏に投票した有権者の目には単刀直入かつ劇的で、米国を立て直すに強壮剤に映った。

  これはいわば米国版ポピュリズム(大衆迎合主義)だ。欧州で広がり、英国の欧州連合(EU)離脱決定を後押ししたポピュリズムが大西洋を横断し、米国で最高潮に達した形だ。米経済は大不況から立ち直りつつある兆しがあるが、多くの有権者には前進が遅過ぎ、将来の見通しがあまりに不確実に映っている。ABCニュースによると、有権者を対象とした出口調査では、最大の争点として経済と雇用を挙げた割合が52%に上り、テロ対策は18%、外交は13%、移民問題は12%だった。

  トランプ氏は大統領就任初日に行政権限を行使して環太平洋連携協定(TPP)から撤退すると公約している。また、中国を為替操作国に認定し、シリア難民の米国定住を阻止し、オバマ現大統領のあらゆる行政命令も覆す方針を表明している。

原題:Trump’s Unthinkable Victory Is a Tonic for Disaffected Americans(抜粋)

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