与党議連:日ロ天然ガスパイプライン事業化調査、月内に要望書提出へ

  • プーチン大統領訪日控え、日ロ共同の優先的プロジェクトの一つに
  • 総事業費7000億円、サハリンから東京湾へ-延長1500キロメートル

与党議員約80人で構成される日露天然ガスパイプライン推進議員連盟は、月内にもロシア極東のサハリンと日本を結ぶ天然ガスパイプラインの建設計画実現に向けた要望書を政府に提出する。プーチン大統領の訪日を来月に控え、30件程度の優先的に取り組む協力事業への選定を狙う。

  同議連の竹本直一事務局長(自民党衆院議員)はブルームバーグの取材に対し、日本が北方領土の返還を実現する手だてとして、ロシア産天然ガスの販路拡大に貢献する日ロ間の天然ガスパイプライン構想は、「一つのアイデア」と述べた。まず政府主導で事業化調査を実施するように要望していく方針を示した。

プーチン大統領は12月に来日

Photographer: Andrey Rudakov/Bloomberg

  世耕弘成経済産業相はロシアを訪問し、12月中旬のプーチン大統領訪日までに、優先的に取り組む共同事業を30件程度に絞るとの内容で合意した。竹本氏はパイプラインの敷設はロシアにとって販路の拡大だけでなく、タンカーで運搬する液化天然ガス(LNG)とは異なり、同国に対して長期的な天然ガス購入を確約することにもなり「より関係が深まる」という。日本にとっても、稼働率が低迷する原子力発電所の代替燃料として重要な天然ガス供給の多様化につながる。

  同議連の事務局がまとめた事業計画によると、サハリン南端から北海道、東北地方の太平洋側陸上を縦貫して東京湾まで伸びる延長1500キロメートルのパイプラインを敷設し、年250億立方メートルの天然ガスを沿線の電力やガス会社に供給することを目指す。LNG換算では年約1800万トンとなり、2015年度のLNG輸入量の約2割に相当する。総事業費は7000億円程度で、年間輸送収入は約2000億円を見込めるという。

融資条件は需要確保

  竹本氏は、ロシア側が求めている日本向け電力供給構想と、議連が提案する天然ガスのパイプライン構想は「二者択一だ」と指摘する。日本にとっては天然ガスのまま運んだ方が需給変動に柔軟に対応できるほか、法改正などの手続き面でもメリットがあるという。日本経済新聞は9月、日本側の強い要請を受けてロシア国営天然ガス会社ガスプロムがパイプライン構想を再検証すると報じた。

  ガスプロムのアレクサンドル・メドベージェフ副社長は先週テレビで放映された会見で、日本はガスパイプライン構想については何度も考えを変更しているとし、計画されているルートは漁業水域と重なることから「非常に複雑な案件だ」と話した。さらに、日本側はロシアからのLNGによる供給に高い関心を示しており、これはサハリン2LNG事業の拡張を目指す同社の計画にも合致していると指摘した。ガズプロムの広報担当はパイプライン計画についてコメントを控えた。

  三井住友信託銀行情報開発部の姫野泰光審議役が10月に議連に提出した提言によると、パイプラインによる天然ガス供給は、「需要家にエネルギーを最も効率的に提供する方法」で、自由化が進む電力、ガス業界では競争力ある燃料調達は重要な意味を持つと指摘。ただ日ロ間のパイプライン敷設に向けては、大規模発電事業者がパイプラインを使った天然ガスの調達を確約することが「融資への重要な条件の一つ」と指摘した。

  これに対し、議連の竹本氏は東京電力フュエル&パワーと中部電力が共同で出資する火力発電用燃料調達会社で、年間のLNGの取扱量が世界最大のJERA(ジェラ)も同事業への関心を示していると述べた。

  JERA広報担当の澤木敦生氏はブルームバーグの取材に対し、パイプラインの利用については「エネルギーセキュリティーと競争力の確保が大前提」とし、この2つを満たしているのであれば「国内市場動向も踏まえて活用について慎重に検討したい」と電子メールで回答した。

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