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ドイツ銀、ポストバンク売れない理由はCoCo債-資本強化で板挟み

  • ポストバンクの価値はドイツ銀の取得価格の半分程度に
  • 国内会計規則に基づいた評価損計上はクーポン支払いに影響も

資本強化を目指すドイツ銀行は独国内のリテール銀行部門であるポストバンクの売却やスピンオフの意向を示していたが、その妨げとなっているのが偶発転換社債(CoCo債)として知られる社債だ。

  ドイツ銀は国際基準に基づく会計ではポストバンクについて巨額の評価損を計上してきたが、国内会計法に基づく損益計算書ではそうしていない。ポストバンクの価値はドイツ銀の買収時に比べ半分程度になっていると見積もられ、売却すれば国内基準でも損失を計上しなければならない。そして、その他ティア1債(AT1債)に分類されるCoCo債のクーポン支払いができるかどうかは国内基準の財務によって決まる。

Deutsche Bank AG Branches As Germany's Government Douses Bailout Talk

ドイツ銀支店

Photographer: Krisztian Bocsi/Bloomberg

  ドイツ銀のCoCo債クーポン支払いをめぐる懸念は今年既に2回、投資家を動揺させ、株価と債券価格の急落を引き起こした。ドイツ銀には準備金があるものの、住宅ローン担保証券問題での米国への支払いで吹き飛ぶ恐れがある。ここ数四半期の業績は低迷し、準備金の増強や自己資本の改善も進んでいない。

  フィッチ・レーティングスのマネジングディレクター、ブリジェット・ガンディ氏はドイツ銀について、「一連の小規模な資産売却を完了したが、資本目標を達成するにはポストバンク売却が必要だ」と話す。フィッチは利益創出と資本強化の困難さを理由に先週、ドイツ銀の格付けを引き下げ方向で見直すウォッチネガティブに設定した。

  AT1債は危機時に最初に損失を吸収するための証券。クーポン支払いの停止が可能で、資本が毀損(きそん)した場合は元本削減や株式への転換ができる。ドイツ銀のAT1債(表面利率6%)は7日、額面1ユーロに対して0.765ユーロ、9月には過去最安値の0.699ユーロを付けた。

  ドイツ銀はポストバンクの売却または新規株式公開を急がない考えを示している。広報担当のロナルド・ワイヒェルト氏はCoCo債が売却を困難にしているかどうかについてコメントを避けた。

  ドイツ銀は2008年、リーマン・ブラザーズ・ホールディングス破綻の少し前にポストバンク買収で合意した。事業多角化の戦略だったが、金融危機後の規制強化でリテール事業の資本負担が重くなったこと、低金利で金利収入が抑えられたことなどでポストバンクの事業価値は低下。昨年は国際会計基準で36億ユーロ(約4150億円)の評価損をリテール事業で計上したが、この大半をポストバンクののれん代償却が占めた。しかし国内会計基準では部門キャッシュフローがプラスである限りのれん代償却は不要で、売却した場合に取得価格との差を計上する。

  こうした国内基準に基づく財務報告がCoCo債の利払いを左右する一方、ドイツ銀は2018年初めに厳格化する欧州の銀行に対する資本要件を満たさなければならない。RBCのフィオナ・スワフィールド氏は、同行がポストバンク売却なしに期限内に最低基準を満たすのは難しいだろうとみている。ポストバンク売却に残された時間はなくなりつつあるかもしれない。

原題:What’s Keeping Deutsche Bank From Postbank Sale? CoCo Bonds (1)(抜粋)

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