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三菱商のみ増益確保、非資源の収益力で差も:総合商社4~9月期決算

  • 新規投資からの利益寄与もあり伊藤忠や三井物の減益幅は小幅に
  • 通期は鉄鋼原料に強み持つ三菱商と三井物が上方修正

総合商社5社の2016年4-9月期連結決算が4日、出そろった。原油・天然ガスや銅などの市況下落で資源事業の損益が住友商事と丸紅で赤字となるなど落ち込んだほか、新興国の景気停滞や円高による利益の目減り、一過性損益の悪化もあって三菱商事を除く4社の純利益が減益となった。

  4日に決算を発表した三菱商の純利益は前年同期比16%増の1798億円だった。けん引したのは豪州の石炭事業。生産コストの削減や原料炭価格の上昇が寄与し、前年同期と比べて360億円の増益要因となった。

  東京証券取引所で会見した同社の増一行・最高財務責任者(CFO)は「資源価格は引き続き流動的な状況が見込まれるが、価格変動に伴う損益に一喜一憂せず、コスト削減の手綱は緩めない」と述べた。一方、非資源事業については「歴史的に低い船舶市況の状況下で機械部門において損失が出たが、船舶を除いた分野は小じっかりしている」と評価した。

  資源価格の大幅な下落によって商社各社は前期までに多額の減損損失の計上を迫られた。市況変動に左右されない安定的な利益を上げる体制構築が課題となっている。増益を確保した三菱商や減益幅が相対的に小さかった伊藤忠商事三井物産は近年の非資源分野での大型投資案件からの利益貢献があった。

  三菱商はサケ養殖事業を手がけるノルウェーのセルマックの業績が改善したほか、昨年持ち分法対象としたシンガポールの農産物商社オラム・インターナショナルからの利益も計上。伊藤忠は昨年投資した中国政府系複合企業の中国中信集団(CITIC)グループからの持ち分法利益の計上が415億円あり、資源分野の落ち込みを下支えした。

  三井物も昨年末、ブラジルでのガス配給事業で約600億円を追加投資したことによる利益貢献や病院事業を運営するマレーシア企業株式の一部売却に伴う利益を計上した。

2桁の減少率

  一方、油ガス田開発向けの鋼管事業や中東地域での自動車販売が振るわなかった住友商事や、米穀物会社ガビロンの利益が伸び悩んだほか紙パルプ市況が低調だった丸紅の純利益はともに2桁の減少率となった。前年同期と比べてドル円相場など為替市場で円高が進んだことで海外で稼いだ利益が円換算では目減りしたことも響いた。

  通期(2017年3月期)の業績見通しは三菱商と三井物が上方修正した。鉄鋼原料である原料炭と鉄鉱石の価格が大きく上昇しており、これらの資源権益に強みを持つ両社の資源部門の利益が上振れる。三菱商は資源部門の純利益を従来は100億円と想定していたが、原料炭価格の上昇を主因に1060億円へと大幅に引き上げた。業績予想を据え置いた伊藤忠も通期計画に対する進ちょく率は58%に達した。

  住友商の高畑恒一CFOは「10月中頃の商品市況が年度末まで続くと仮定すると、100億円程度の利益上振れはある」と説明。丸紅の矢部延弘CFOも「当初予算から見ると石炭事業は上振れするのは間違いない」と語った。

  世界経済の見通しについて三井物産の松原圭吾CFOは「商品市況の底打ち感はあるものの、新興国の景気停滞により足踏み状態が続く」との見方を示した。

【総合商社5社の業績一覧】

4-9月
純利益実績
17年3月期
純利益予想
 進ちょく率
伊藤忠2022(-5.0%)3500(46%)      58%
三菱商事1798( 16%)3300(---)   54%
三井物産1220(-6.6%)2200(---)   55%
丸紅 805( -21%)1300(109%)      62%
住友商事 658( -49%)1300(74%)      51%

(単位は億円、カッコ内は前年同期比、全社国際会計基準)

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