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原料炭急騰が打撃、2社が通期減額の鉄鋼決算-下期回復の想定崩れる

  • 4-9月は鋼材価格下落やエネルギー向けの需要低迷で3社業績悪化
  • JFEは鉄鋼事業が通期で初の赤字に、新日鉄住金や神戸鋼も減益に

新日鉄住金など鉄鋼3社の2016年4ー9月期の業績は、主力の鉄鋼事業が軒並み苦戦したことで、JFEホールディングスの純損益が赤字となるなど悪化した。今期(2017年3月期)の経常利益見通しもJFE、神戸製鋼所の2社が下方修正した。

  鉄鋼事業の環境が悪化した背景には原料の石炭の価格が8月以降に急騰したことで、鋼材販売価格から原料費を引いた利益にあたるスプレッドが悪化していることがある。

  同日決算を発表した新日鉄住金の4ー9月期の連結経常利益は前年同期比78%減の280億円。栄敏治副社長は「鋼材の販売価格が大きく下がり、われわれが得意としている高収益のエネルギー関連の鋼材販売量も落ちた」と述べた。原料炭を中心とした原材料費の負担が下期は上期と比べて2000億円増えるとした上で「自助努力の限界を超えており、非常に強い覚悟で価格交渉に臨む」と鋼材販売価格の値上げの意向を示した。

  JFEの4ー9月期の経常損益は101億円の赤字(前年同期は484億円の黒字)、神戸鋼は同63%減の123億円の黒字だった。JFEは鉄鋼事業の今期の経常損益予想を200億円の利益から150億円の損失へと修正し、同事業で初の赤字を見込む。神戸鋼の鉄鋼事業も今期は300億円の経常損失と従来予想と比べて100億円損失幅が拡大する。

  JFEの岡田伸一副社長は「原料炭急騰の影響で大幅なコストアップが見込まれる」と説明。神戸鋼の梅原尚人副社長も「原料コストアップと鋼材価格改定のタイミングのずれによる一時的なメタルスプレッドの悪化を加味した」と説明した。

  鉄鋼各社は需要家に対して鋼材価格の値上げを要請しているが、国内需要に力強さを欠くことなどから原料価格の上昇分を補う価格転嫁の実現は容易でないとの見方もある。

原料炭急騰で過去最低の水準に

  中国の過剰生産に伴う海外での鋼材市況の下落に加え、円高による輸出採算の悪化など鉄鋼業界を取り巻く環境は厳しい。各社は今期、長く低迷していた輸出スプレッドが底入れして改善することを想定していたが、原料炭急騰によりスプレッドは一転して過去最低の水準にまで下落、回復シナリオが崩れた。

  日本鉄鋼連盟の進藤孝生会長(新日鉄住金社長)は10月の会見で、原料炭急騰の背景には中国での豪雨や豪州の一部鉱山での操業トラブルといった一時的要因に加え、中国の炭鉱操業日数の制限のほか、事業撤退する鉱山会社も出ているとし構造的な問題もあると指摘。「原料炭問題が経営の大きな課題に浮上してきた」との認識を示していた。

【鉄鋼3社の業績一覧】

      売上高    経常利益      純利益
新日鉄住金    21,608(-14%)    280(-78%)     110(-91%)
    45,500(-7.3%)  1,300(-35%)     600(-59%)
JFEHD    14,996(-13%)   -101(---)      -84(---)
    32,900(-4.1%)    300(-53%)      150(-55%)
神戸製鋼      8,151(-12%)    123(-63%)       41(-69%)
    16,900(-7.3%)    100(-65%)        0(-100%)

(単位は億円、カッコ内は前年同期比、上段が4-9月期実績、下段は通期予想)

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