日銀会合注目点:2%達成時期どこまで先送りか、80兆円めどの行方は

  • エコノミスト調査で大半が現状維持を予想、追加緩和なしも急増
  • 「めど」削除なら緩和姿勢一段と後退と受け止めも、と野村・松沢氏

日本銀行は1日の金融政策決定会合で政策運営方針を決定する。金融調節方針の現状維持を市場が見込む中、2%の物価目標の達成時期の先送りや、長期国債の買い入れペースの取り扱いが焦点となる。

  日銀は前回の9月会合で、マネーの量を操作目標としてきた従来の金融緩和から、長短金利を操作目標とする新たな枠組みに変更。短期金利のマイナス0.1%を維持する一方で、10年物国債利回りは0%程度とすることを決定した。

  ブルームバーグがエコノミスト43人を対象に10月21-25日に実施した調査では、41人が今会合の現状維持を予想。来年4月までに追加緩和があると予想したのは18人(42%)と半数以下にとどまる一方で、追加緩和なしは15人(35%)と前回9月会合前の調査(14%)から大きく増えた。

日銀本店と国旗

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  今会合で追加緩和を予想していた2人のうちの1人、HSBCアジア経済調査部門共同責任者のフレドリック・ニューマン氏(香港在勤)は10月27日付のリポートで緩和予想を撤回。マイナス金利の深掘りの予想時期を来年第2四半期に先送りした。

  金融政策決定会合は従来、おおむね正午から午後1時の間に終了し、それから間もなく結果が発表される。黒田東彦総裁は午後3時半に記者会見を行う。

2%達成時期はどこまで先送りするか

  日銀は決定会合後に4半期に1度の経済・物価情勢の展望(展望リポート)も公表する。前回7月の展望リポートでは、2017年度の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)の前年比見通し(政策委員の中央値)は1.7%上昇で、同年度中に物価目標である2%に達するとしていた。

  しかし、9月のコアCPIはエネルギー価格の下押しもあって前年比0.5%低下と水面下で推移。日銀が重視しているエネルギーと生鮮食品を除いたいわゆる日銀版コアCPIも0.2%上昇とゼロ近傍で低迷している。

  黒田総裁は10月21日の衆院財務金融委員会で、物価目標の達成見通しについて「修正はあり得る」と発言。前回会合から経済、物価、金融情勢は変わっておらず、長短金利の操作目標について「すぐに変更があると考えることは難しい」とも述べ、今会合は現状維持とする可能性が高いことを示唆した。

  みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストはブルームバーグ調査で「追加緩和の可能性はほとんどない」と予想。9月に枠組みを「長期戦・持久戦」対応に切り替えたため、「17年度中」の先送りとリンクした追加緩和は不要になっていると指摘。今後、追加緩和があるとすれば、「円高ドル安が急激に進む場合の対応策としてだろう」という。

80兆円めどの行方は

  金融市場が注目しているのは、日銀が約80兆円をめどとしている長期国債の買い入れ減額のタイミングだ。黒田総裁は21日の国会答弁で、将来、年間80兆円増のペースで買わなくても良くなる「可能性は高い」と指摘。70、60兆円になってもマネタリーベースは増えると述べ、買い入れペースの大幅減があり得るとの見方を示した。

  日銀は「めど」として示している長期国債の買い入れ額について、近い将来、金融調節方針(ディレクティブ)から削除することを検討していることが複数の関係者への取材で分かっている。ブルームバーグ調査では、来年1月会合までに日銀が80兆円を減額するとの予想は7人と少数派にとどまっている。

  大和証券の野口麻衣子シニアエコノミストは「約80兆円」のめどついて、「長期金利が操作目標付近の狭いレンジ内で推移していること、『直ちに下げると想定していない』と黒田総裁がコメントしていることなどから、少なくとも年内は維持される可能性の方が大きいだろう」とみている。

金利動向への見解

  黒田総裁が会見で、金利動向についてどのような見解を示すかも注目だ。10月27日の参院財政金融委員会では、「超長期のところがもう少し金利が上がってもおかしくない。上がったら下げなくはいけないと考えるかどうかと言われると、今のところそういうふうには思っていない」と述べた。

  野村証券の松沢中チーフ金利ストラテジストは10月28日付のリポートで、総裁会見での焦点は「超長期金利はもう少し上がってもおかしくない」という発言の真意、それに国債買い入れペースが「70、60兆円になってもマネタリーベースは増える」との発言とテーパリング観測のつながりとみる。

  松沢氏は前者の発言について「上がったら下げなくてはいけないとは、今のところ思っていない」とも発言していることからも、「黒田総裁の真意であろう」と指摘。後者については、市場の一部や日銀内でも、量自体の緩和効果を重視している向きはいることから、「9月会合ではあえて残した『量目標』を今後消すことは、日銀の緩和姿勢が一歩後退したとの受け止められ方をしよう」という。

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