韓進の轍踏むな、海運3社事業統合で信用力改善-「自助努力限界」

更新日時
  • コンテナ事業統合の発表を受けてCDSは各社とも縮小
  • 「船隊合理化できればアップサイド」とみずほ証の大橋氏

日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運3社が採算の悪化した定期コンテナ船事業を統合することになった。韓国の海運大手の韓進海運が経営破綻するなど世界的な海運不況の中で、生き残りをかけて同事業で合理化を進める構えで、クレジット市場は好感している。

  CMAによると、事業統合の発表を受けて10月31日の3社のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)はいずれも縮小するなど、信用力は改善。商船三井は前週末比20ベーシスポイント(bp=0.01%)低下の125bp、日本郵船が同8bp低下の69bp。川崎汽船が同15.5bp低下の147.5bpとなり、下げ幅は7月12日以来最大だった。

  発表資料によると、新会社への出資額は約3000億円で、出資比率は郵船38%、商船三井31%、川崎船31%。2017年7月1日に合弁会社を設立し、18年4月1日にサービスを開始する。船隊規模では世界シェアの7%を占め、スケールメリットを生かして年1100億円の統合効果を期待できるという。川崎船の村上英三社長は、共同記者会見で「世界レベルの競争力を確保することが目的」と述べ、商船三井の池田潤一郎社長は「海運史の歴史的転換点となる」と強調した。

日本郵船のコンテナ船

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  コンテナ船の長期的な市況低迷は世界規模で影響が出ており、8月末には韓進海運が経営破綻。中国経済の減速が響き、コンテナ船の運賃指標となる上海海運取引所の指数は今年3月に過去最低を付けた後、底を打ったが、依然として歴史的な低水準が続いている。ばら積み船の運賃指標となるバルチック海運指数も低迷している。日本郵船の宮本教子経営委員は10月31日の決算会見で、コンテナ事業は「自助努力ではなんともしようのないところに来た」ことが統合の背景だと語った。

  みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストは、事業統合について「重複している航路で船隊の合理化ができれば当然アップサイドはある」と指摘。発表通り1100億円の統合効果が発揮できれば「赤字は解消できる」とし、具体的な施策に注目している。

  BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストも、「海運業界にとって賢明な選択で、この決断はプラス。格付け的にもポジティブ」と話す。さらに「格下げ方向の話が払拭(ふっしょく)されると、当然スプレッドが乗っている物の方がいい」とし、「スプレッド的には商船三井が面白い」と言う。

  石井啓一国土交通相は1日の閣議後会見で、海運3社の事業統合について「民間ベースの判断による動き」とした上で、これを歓迎する考えを示した。同省としても「できる限りの支援を実施する」と言う。

減損、統合効果

  一方、注意点として、みずほ証の大橋氏は「合弁会社への船舶の売却額」を挙げ、「一定の減損を計上して売ることになり、一時的にはロスが出てしまう」と述べた。損失規模次第では社によって1段階格下げの可能性があるとの見方を示した。 

  10月31日発表の4-9月期決算によると、3社はともに17年3月期の業績見通しを下方修正。日本郵船と川崎汽船は計3390億円の純損失と予想するとともに、構造改革が先行していた商船三井も純利益を70億円(従来150億円)に減額修正した。日本格付研究所(JCR)の水川雅義アナリストは、「事業環境は引き続き非常に厳しい。何もしなけば厳しい状況だ」との見方を示した。

  水川氏は、コンテナ事業の合弁会社は「基本的に持ち分法の会社になるので、全体で見れば損益が最終的に大きく変わるわけではない」と指摘し、事業統合効果の見極めが海運3社の格上げには必要だとの見方を示した。

  JCRによる格付けは郵船がAプラス、商船三井がAマイナス、川崎船がBBBプラス。郵船と川崎船はクレジットモニターの対象となっており、格下げ方向で見直しに入っている。商船三井は格下げの可能性があるとして、見通しをネガティブとしている。

(第2段落を更新、第7、11段落を追加しました.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE