ドル・円は104円台後半、クリントン氏のメール問題警戒で上値限定

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  • 早朝に104円27銭までドル安・円高に振れる場面も
  • 米大統領選は最大のリスク-外為オンライン

31日の東京外国為替市場でドル・円相場は1ドル=104円台後半で推移。米連邦捜査局(FBI)が大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏の私用メール問題で調査を再開したことを受けて、上値が重い展開となった。

  午後3時42分現在のドル・円は前週末比0.1%高の104円82銭。早朝に104円27銭と3営業日ぶり水準までドル安・円高に振れた後、104円94銭まで戻したが、105円台の手前で伸び悩んでいる。前週末28日の海外市場では一時105円53銭と7月29日以来の高値を付けた後、クリントン氏の私用メール問題でのFBI調査再開を受けて104円47銭まで下落した。

  外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、「問題はFBIの捜査がどの程度になるのかだ。米大統領選を控えて絶妙のタイミングで出てきたので、クリントン優位と見るものの絶対とは言えず、それに備えたポジションを作っている可能性もある」と指摘。「やはり米大統領選は最大のリスク。ドル・円は選挙まで買い進みづらくなった」と述べた。

  米世論調査では、FBI調査再開でクリントン氏の支持率が若干低下し、最終盤の選挙戦は予断を許さない状況になりそうなことが示されている。30日に発表されたABC・ワシントンポスト調査によると、クリントン氏支持者も含め、投票を予定している有権者の約3分の1が今回の新たな電子メールの発覚により、クリントン氏に投票する可能性が低まったと回答。投票予定者のクリントン氏とトランプ氏の支持率は僅差に縮小している。

  三井住友信託銀行マーケット金融ビジネスユニット為替セールスチームの西田朋広主任調査役は、「ドル・円は、早朝にクリントン候補のメール問題で下値を広げたが、仲値にかけては月末のドル需要がドル・円を押し上げた。ただ、FBIによるメール再捜査そのものは、クリントン氏にとってネガティブな材料ということで、105円を前に上値は重くなっている」と語った。

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は同時刻現在、0.1%高の1209.38。28日には一時1213.47と3月16日以来の高水準を記録した。

  外為オンラインの佐藤氏は、今後の見通しについて、「捜査の過程で話が深刻になったり世論調査が僅差となれば103円台もあるだろう」としながらも、「再捜査がなければリスクオンの感じだった。チャートもドル高を示唆しており、メール問題が沈静化してくれば、ドルは少しずつ買われる」と指摘。ドル・円は105円を挟んで上下2円から2円50銭ぐらいのレンジと予想している。

  米国では31日に9月の個人支出・所得と10月のシカゴ製造業景況指数が発表される予定。ブルームバーグ調査によると、個人消費支出は前月比0.4%増、シカゴ製造業景況指数は54.0が見込まれている。

  米商務省が28日に発表した7-9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率2.9%増加と、市場予想(2.6%増)を上回り、過去2年で最大の伸びとなった。米金利先物動向に基づきブルームバーグが算出した年内の米利上げ予想確率は28日時点で69.2%と、前日の72.5%から低下。11月1、2日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ予想確率は17.1%と横ばいだった。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、「米GDPは久しぶりの成長水準で12月利上げの可能性を高めるドル高要因だったが、クリントン氏のメール問題についての再調査でGDP効果が消された。大統領選でクリントン氏楽勝ムードからどうなるか分からなくなって円高・ドル安になった」と説明。「年内の米利上げだけで、ドル高一辺倒にはなりにくい。先物市場ではクリントン勝利を織り込んでいるものの、選挙結果を見ないと分からない」と述べた。

中銀会合

  今週は、日本銀行とオーストラリア準備銀行(中央銀行)を始め、米FOMCやイングランド銀行が相次いで金融政策の発表を予定している。

  三菱UFJモルガン証の植野氏は、「米大統領選前にどこも大きな政策変更は期待されていない。下手に金融政策を動かしても、米大統領選の結果で消されてしまうので、今回は政策カードを切ってこないと思う。今回いずれの中銀会合も無風通過なら、米雇用統計、米大統領選の結果を見てからになると思う」と述べた。また、三井住友信託の西田氏は、「黒田日銀総裁も国会で、今回の会合での政策変更がない可能性を示唆しており、円相場の動意にはつながりづらそう」とみている。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.2%安の1ユーロ=1.0964ドル。ポンド・ドル相場はほぼ変わらずの1ポンド=1.2183ドルで推移している。

  SMBC日興証券の野地慎為替・外債ストラテジストはリポートで、クリントン氏の私的メール問題での調査再開を受けて「最近、対円、対ユーロで買われてきたドルが両通貨に対してのみ一気に下げたのは興味深い」と指摘。「短期的に対円、対ユーロでドルを買うポジションが積み上がっていた可能性は否めない」とし、今週、これらが早めに解消されてドル売りが加速する展開には要注意だとみている。

  欧州では31日、ユーロ圏の7-9月GDPと10月消費者物価指数(CPI)の速報値が発表される予定。ブルームバーグ調査によると、市場予想中央値はGDPが前期比0.3%増加、消費者物価指数が前年比0.5%上昇と見込まれている。

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