日本郵船商船三井川崎汽船の3社が定期コンテナ船事業を統合する。船隊規模では業界6位、世界シェアの7%を占めることになる。年間1100億円の統合効果見込んでおり、各社の株価は急騰した。

  「コンテナ事業において、世界レベルの競争力を確保することが目的」で、「オールジャパンの取り組みは成功させなければならない」と、川崎船の村上英三社長が都内で開かれた共同記者会見で述べた。今年の春ごろに3社で統合の検討を始めたという。「海運史の歴史的転換点となる」と、商船三井の池田潤一郎社長は指摘し、郵船の内藤忠顕社長は「全力で今回のコンテナ統合会社を応援、支援する」と述べた。

川崎船の村上社長(左)、商船三井の池田社長(中)、郵船の内藤社長(右)
川崎船の村上社長(左)、商船三井の池田社長(中)、郵船の内藤社長(右)
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  コンテナ船の長期的な市況低迷は世界規模で影響が出ており、8月末には韓国コンテナ海運最大手の韓進海運が経営破綻した。ドライバルク船の需要も、中国経済の減速が響き、ばら積み船の運賃指標となるバルチック海運指数は今年2月に底を打ち、現在はやや回復傾向にあるものの、依然として歴史的な低水準が続いている。商船三井の池田社長は「他の事業分野の統合は考えていない」と会見で述べた。

株価急騰

  発表資料によると、出資額は約3000億円で、出資比率は郵船38%、商船三井31%、川崎船31%。2017年7月1日に合弁会社を設立し、18年4月1日にサービスを開始する。各社の株価は31日の取引で急騰。郵船が一時、先週末の終値比11%高、商船三井が同15%高、川崎船が同9.7%高まで上昇した。

  日本海事センターでコンテナ船市場を分析する松田琢磨研究員は「統合は世界的な競争環境で生き残るためには必要な選択だった」と指摘。統合効果を生むために「3社がどのような具体策を講じるのかに注目したい」と述べた。

  ブルームバーグの集計データによると、川崎船の筆頭株主は37.74%を保有するシンガポールのヘッジファンド、エフィッシモ キャピタル マネージメント。川崎船の村上社長は31日の会見で、事前に相談はしておらず、「これから説明する」と述べた。エフィッシモは問い合わせに対し、電子メールを通じ、回答を控えると述べた。

  菅義偉官房長官は31日午前の会見で「わが国海運力の強化につながる」として「取り組みを歓迎したい」と述べた。

3社とも下方修正

  各社は同日、16年4-9月期決算を発表。3社そろって17年3月期の業績見通しを下方修正した。純損益は郵船が2450億円の赤字(従来150億円の赤字、市場予想311億円の赤字)、商船三井が70億円の黒字(従来150億円の黒字、市場予想121億円の黒字)、川崎船が940億円の赤字(従来455億円の赤字、市場予想581億円の赤字)になるとの見通しをそれぞれ明らかにした。

郵船のコンテナ船
郵船のコンテナ船
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  郵船の宮本教子経営委員は31日の会見で「コンテナ運賃の下落が厳しく響いた」と下方修正の理由について説明。「コンテナ事業は自社で黒字化を目指し、自助努力で収益の悪化を食い止める努力を続けてきたが、もう自助努力ではなんともしようのないところに来た」と指摘し、事業統合により「海外のコンテナ競合他社と戦う土台ができた」と述べた。

  商船三井の高橋静夫専務は決算会見で、コンテナ事業について「営業強化はやっているものの個別の会社の対応にも限界があるということで統合という話になった」と述べた。「シナジー効果年間1100億円はもちろん根拠ある試算だが、すぐに効果が出るものではない」と話した。

ポテンシャル

  川崎船の鳥山幸夫常務は、「韓国の船会社の経営破綻に見るように市況環境は想定以上に厳しい。運賃の回復も限定的」と指摘。そうした中でも「日本の海運会社のポテンシャルをこの統合から感じてほしい」と述べた。

  3社はドイツや台湾の海運会社などと共同で、17年4月にコンテナ船の新たな国際連合を立ち上げ、互いに運搬スペースを融通する計画を発表している。今回の事業統合の影響はないとしている。コンテナ船業界では、デンマークの世界首位APモラー・マースクがマレーシアのMSCと提携したほか、中国も国営海運2社の業務を統合するなど再編が進んでいる。

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