MUFGなど世界の再生エネルギー融資で存在感-マイナス金利背景

  • 邦銀が欧州洋上風力などの案件獲得でリード-1、2位独占
  • 収益力強化で海外貸し出しに注力、国内低金利を補完

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)など邦銀大手3行が世界の再生可能エネルギー関連事業向けの融資で存在感を増している。背景には日本銀行によるマイナス金利政策の下で、各行が利回りの高い海外での融資案件獲得を積極化させていることがある。

  ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)がまとめたデータによると、MUFGや三井住友フィナンシャルグループは、2016年1-10月期のプロジェクトファイナンスによる再生可能エネルギー事業向け融資額で昨年首位だったスペイン最大手サンタンデール銀行を上回った。MUFGが18億8000万ドル(1977億円)と首位。これに三井住友Fが15億2000万ドルと続き、サンタンデール銀行が3位、みずほフィナンシャルグループは6位だった。

  欧州では温室効果ガスの排出削減のための取り組みが活発で、政府もこの動きを補助金など政策で支援。北海の洋上風力発電事業などへの融資で得られる安定的な利回りは、国内の大手銀行にとっても魅力的な水準にある。日銀の統計によると8月の国内銀行の貸出約定平均金利(新規)は0.703%と過去最低水準にあり、国内での低金利による収益性の伸び悩みを補う役割を果たしている。

  気候変動リスクと金融などについて研究している日本総研ESGリサーチセンターの村上芽マネジャーは、多くの先進国が2050年までに温室効果ガスの80%削減を目指しており、邦銀の海外案件向け融資は「政策が弱まらなければ続く」とみる。一方で、銀行側にとっても融資を「強くしたいという意欲がある」と指摘する。

  MUFG傘下の三菱東京UFJ銀行電力インフラグループの柳田陽子次長は、同行が首位になったことについて「それだけの規模の案件があるということと、私どもが特に欧州、北米中心に長く再エネ市場をけん引してきたため」と話す。

  また、12年に日本国内で再生可能エネルギー由来の電力を固定価格で買い取る制度が導入されるよりも前の「約15年前から再エネ向けのファイナンスをやってきた自負がある」とし「マーケットとしてのファイナンスの需要がある中、結果的にわれわれに声がかかりやすくなっている」と述べた。今後は、マレーシアやタイ、インドなどアジア域内の事業向け融資を強化する方針だ。

グローバルに追う高収益

  BNEFのアナリストアリ・イザディ氏は、MUFGだけでなく三井住友Fや、みずほFGの国内大手3行について「これまでも欧州や米国での再生可能エネルギー案件の融資に積極的だった」と指摘する。2月に日銀がマイナス金利政策を導入した後には「さらに高い収益をグローバルに追う傾向となっている」とし、同政策導入のタイミングが「英国での洋上風力案件への投資機会の好機と重なっており、邦銀3行による再エネ融資の最も大きな割合を占めている」と話した。

  三井住友F広報担当の氷室祐一郎氏は、同社の融資先に風力発電事業が多いことの背景について「欧州では近年洋上風力の導入が進んでおり、大規模かつ優良スポンサーの案件が多い」と指摘した。みずほFG広報担当の塩野雅子氏は「再生可能エネルギーなど環境配慮型インフラ事業向けプロジェクトファイナンスは、戦略的重要分野として先駆的に取り組んでいる」と述べた。

原題:Japan’s Negative Rates Prod Megabanks Into Offshore Wind Loans(抜粋)

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