JT:営業利益予想上方修正、為替マイナス影響も多角化が補う

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  • 不動産売却益や医薬事業でロイヤルティー収入が増加
  • 加熱式たばこで国内マーケットリーダー目指す-宮崎副社長

日本たばこ産業(JT)は、今期(2016年12月期)の営業利益予想を5800億円に上方修正した。8月に続いて2度目の増額。好調な海外たばこが為替のマイナス影響を受けるも、不動産売却益の増加を織り込むほか、医薬事業でロイヤルティー収入が増える。

  従来の営業利益目標は5720億円だった。ブルームバーグがアナリスト17人から集計した市場予想平均5862億円は下回った。売上高予想は2兆1200億円で据え置き、純利益予想は4140億円(従来4090億円、市場予想4212億円)に増額した。

  世界各国で健康志向の高まりや規制の強化など、たばこ事業は厳しい環境に置かれている。こうした中、合従連衡が進んでおり、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)は米レイノルズ・アメリカンの未保有株を買い取る計画を発表。JTもレイノルズが持つたばこブランド「ナチュラル・アメリカン・スピリット」の米国外での事業を現金6000億円で1月に買収完了。7月にはアフリカ・エチオピアのたばこ専売会社、ナショナル・タバコ・エンタープライズ(NTE)の株式40%を取得した。

多角化

  いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「多角化しているし、問題はない」と電話インタビューで指摘。「不動産売却益は出ているが、基本的には本業の部分でどれだけ収益を拡大できるかが重要」だと述べた。

  15年12月期の事業別売上高で約6割を占める海外たばこは、事業そのものは好調だが、厳しい為替の影響を受ける。1-9月の調整後営業利益は、販売数量増や値上げが奏功し、為替一定ベースで前年同期比15%増。ただ、為替の影響を経由すると同13%減となる。JTは業績比較のための財務指標の一つとして、営業損益から買収に伴い生じた無形資産に係る償却費などを除いた調整後営業損益を公表している。

  国内で喫煙者率の低下傾向が続く中、JTは新たなたばこ需要も模索している。「プルーム・テック」は加熱式たばこと呼ばれる電子たばこの一種で、3月にオンラインショップなどで販売を開始した。紙巻きたばこに比べて副流煙が出なくて臭いが少なく、健康リスクも抑えられる可能性があるとしている。注文が殺到したことで一時販売休止となるなど、低迷する国内たばこ市場の中で明るい材料となっている。

マーケットリーダー

  決算会見で宮崎秀樹副社長は、こうしたたばこの「商品力に確かな手応えを感じる」と話す。国内市場で「3-5年でマーケットリーダーになることを目指す」と述べた。

  米フィリップモリスインターナショナル(PMI)は14年に「アイコス(iQOS)」を日本の一部地域で試験投入し、今年4月から全国販売を開始している。調査会社の英ユーロモニター・インターナショナルによると、15年の日本で紙巻きたばこの売上高が前年比0.9%減の321億ドル(約3兆3700億円)となったのに対し、加熱式たばこは同約5倍の460万ドルと急増した。

(第6段落以降を加えます.)
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