【コラム】カーニー英中銀総裁、自らのブレグジット準備-ギルバート

  • 総裁は2018年の退任を既に決意か、先週の証言で強く示唆
  • 英経済はスタグフレーションに-民間エコノミスト予想

英中銀金融政策委員会(MPC)の元メンバー、デービッド・ブランチフラワー氏は、英国が欧州連合(EU)離脱を選択してから「大人」の対応をしているのはカーニー英中銀総裁だけだと表現した。この見方には多くの人が賛同するだろうが、不幸にも、カーニー総裁も自らの「ブレグジット」を計画している様子がある。

  ここ数週間でメイ首相、ヘイグ前外相、ゴーブ前司法相が英中銀の独立性をないがしろにするコメントを相次いで発した。カーニー総裁は国民投票の前にも後にもEU離脱に悲観的な見方を示したことで、集中砲火を浴びている。複数の真面目な政治誌は、総裁批判の急先鋒(せんぽう)に立つ下院財政委員会のリーズモッグ議員が新総裁として取って代わる可能性があるとの臆測すら掲載した。

  カーニー総裁はこれまで、就任当初の計画である2018年に退任するか、英中銀総裁として通常の8年間の任期を全うして21年まで在任するか、年末までに決定すると述べてきた。だが先週の上院委員会での証言で、すでに辞任の決断を下したことを強く示唆した。ある政策の先行きについて中銀の姿勢を問われ、

  「拘束したくはない。(長い沈黙の後で)今後2年間の英中銀を」と語った。

  賭けてもいい。カーニー総裁は思わず「次期総裁を拘束したくはない」と言いそうになってしまったため、一瞬黙ったのだと個人的に確信する。つまり、2年の間に総裁交代があるとほのめかしているのだ。

  カーニー総裁は辞任するとしても、「完全に個人的な決断」であると強調しようと努めている。しかし少なくとも私の耳には、衝撃を最小限に抑えようとしながら辞任の下準備をしているように聞こえて仕方がない。発言内容は以下の通りだ。

  「全員がそうであるように、自ら管理しなければならない個人的な事情が私にもある。これは全身全霊を傾けなければならない役割で、わたしができるだけ長くやろうとしていることでもある。政府の政策に関する決定には、何人たりとも深読みするべきでない」

  これはカーニー総裁が子供をどこの学校に通わせたいかというような個人的な考慮ばかりではなく、外野のヤジや中傷から単に逃れたいという希望でもない。以下のチャートを見て、EU離脱選択後の英国経済を喜んでかじ取りしてみたいと思う理由があるだろうか、自問してみるといい。

  
  民間セクターのエコノミスト予測をまとめたこのチャートは、英経済の見通しに関するカーニー総裁の悲観を裏付けている。リーズモッグ議員は今月、総裁がその地位にふさわしくないと示唆したが、総裁の悲観は国民投票結果の無効を狙った「恐怖に訴える戦略」の一環だとの批判には根拠がない。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)  

原題:Bank of England’s Carney Prepares His Own Brexit: Mark Gilbert(抜粋)

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