【債券週間展望】長期金利上昇か、総裁発言の余波とオペ減額を警戒

  • オペ減額が続けばテーパリングと思われても仕方ない-メリル日本証
  • 米利上げ観測や円安・株高基調の継続で上値の重い展開-岡三証

来週の債券相場は長期金利の上昇が予想されている。日本銀行の黒田東彦総裁が超長期金利はもう少し上昇してもおかしくないと発言した影響が残る上、長期国債買い入れの運営方針で超長期債が減額されることへの警戒感が根強い。超長期債につられて長期ゾーンの金利も上昇しやすいとの見方が出ている。

  今週の新発10年物国債344回債利回りは、日銀の追加緩和期待の後退を理由にマイナス0.055%に上昇して始まり、20年債入札を順調に消化するといったんはマイナス0.07%まで低下した。しかし、黒田日銀総裁の超長期金利に関する発言を受けて再び上昇し、欧米金利も上昇する中、一時はマイナス0.045%と約1カ月ぶりの高水準を付けた。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「ほとんど日銀がコントロールしているマーケットで、黒田総裁がもう少し金利が上がってもいいと言うのであれば、超長期債は買いづらさが出てきてしまう」として、黒田総裁の発言はインパクトがあったと指摘する。

  今週の新発20年物158回債利回りは、25日の20年債入札を順調に消化して0.355%と4日以来の水準まで低下する場面もあったが、この日は0.395%まで上昇した。米国で利上げ観測の強まりを背景に長期金利が5月以来の高水準となり、円安・株高基調も加わって、長期・超長期ゾーン全体に売り圧力がかかった。

長期国債買い入れオペの運営方針

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「黒田総裁の発言は驚きだったが、ある程度は本音なのだろうという気もする。超長期ゾーンの国債買いオペは小幅減額される可能性がある」と指摘。「月間の減額幅を考えれば、急激な利回り上昇にはならないとみているが、米利上げ観測も続き、債券相場は全体的に上値が抑えられそうだ」と言う。

黒田日銀総裁

Photographer: Buddhika Weerasinghe/Bloomberg

  日銀は11月1日に、当面の長期国債買い入れオペの運営方針を発表する。10月は残存10年超25年以下で1回の買い入れ額が100億円減の1900億円、残存25年超は同100億円減の1100億円にそれぞれ減額され、他の年限の増額もなかった。

  メリルリンチ日本証券の大崎氏は、国債大量償還の12月は減額の可能性が高いと指摘した上で、「10、11、12月と立て続けに減らしたらテーパリングと思われても仕方がない」との見方を示した。

  来週は31日と11月1日に日銀の金融政策決定会合、1日と2日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。岡三証券の鈴木氏は、「日米とも政策変更は見込まれていないが、米国では12月の利上げに向けた発言がありそうだ。4日に米雇用統計の発表も控えており、投資家は積極的には動きづらい」とみている。

  みずほ証券金融市場調査部によると、来週の長期国債買い入れオペは、31日に残存1年超5年以下と10年超、11月4日に残存5年超10年以下と10年超の実施が予想されている。一方、財務省は2日に残存1年超5年未満の国債を対象にした流動性供給入札を実施する。発行予定額は2000億円程度となる。

市場関係者の見方

◎メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジスト
*黒田総裁の発言でオペの減額を予想する人が増えた気がする
*オペが減額された場合、長期金利がゼロ%まで上昇する可能性も
*長期金利の予想レンジはマイナス0.08%~マイナス0.03%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*注目材料が多い中、円安・株高基調の継続で上値の重い展開
*積極的な売り手もなく、下値は支えられる
*長期金利の予想レンジはマイナス0.07%~マイナス0.03%

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
*日銀決定会合は無風だろう、FOMCは声明文が12月利上げを追認する内容かに注目
*海外金利の上昇、円安進行や日本株堅調で、長期金利にも上昇圧力が掛かりやすい
*長期金利の予想レンジはマイナス0.07%~マイナス0.03%
*T

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