債券下落、日銀総裁発言余波で超長期債中心に売り-円安・株高も重し

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  • 長期金利は一時マイナス0.045%と1カ月ぶり高水準
  • 総裁がそうはっきり言うのであれば超長期買いづらい-メリル日本証

債券相場は下落。前日に日本銀行の黒田東彦総裁が超長期債の金利低下をけん制する発言をきっかけにした同ゾーン中心の売りが継続した。国内株式相場の上昇や外国為替市場で1ドル=105円台への円安・ドル高進行も売り手掛かりとなった。

  28日の長期国債先物市場で中心限月12月物は、前日比12銭安の151円68銭で開始し、一時151円58銭まで下げた。午後は151円60銭台を中心にもみ合い。結局は16銭安の151円64銭で引けた。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「今日の相場は全体的に甘い展開。前日の黒田日銀総裁の発言や欧米金利の上昇が効いている」と指摘。「黒田総裁の発言は驚きだったが、本音なのだろうという気もしている。今週も20年債利回りで0.35%以下は買いに慎重だった」と話した。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の344回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.05%で開始し、マイナス0.045%と9月23日以来の高水準を付けた。その後は再びマイナス0.05%で推移した。

  超長期債が安い。新発20年物の158回債利回りは一時2bp高い0.395%まで上昇。新発30年物の52回債利回りは2.5bp高い0.52%と12日以来、新発40年物の9回債利回りは2bp高い0.60%と11日以来の水準まで売られた。

  前日の債券市場は、黒田総裁が国会での答弁で「超長期の金利が現在よりも多少上昇してもおかしくない」などと発言したことを受けて、超長期債を中心に売りが優勢となった。新発20年債利回りは0.3%台半ば付近から、発言後には0.385%まで水準を切り上げた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは、前日の黒田日銀総裁と岩田規久男副総裁の発言について、「イールドカーブが全体的に下がり、フラット化しているのを抑える狙いではないか。20年債は前月の日銀会合で現状程度の水準とされた0.4%前後から、0.3%台前半をうかがうような動きとなり、一段の金利低下をけん制した」と説明した。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「足元の物価情勢で黒田総裁がもう少し金利が上がってもおかしくないと発言したことはそれなりにインパクトがあった」と指摘。「ほとんど日銀がコントロールしているマーケットで、黒田総裁がはっきりそう言うのであれば、超長期は買いづらさが出てきてしまう」との見方を示した。

前日の黒田日銀総裁の発言はこちらをご覧下さい。

米財務省前に建つ初代財務長官アレクサンダー・ハミルトン像

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  27日の米国債相場は、年内利上げ観測や米景気に対する楽観的な見方を背景に下落した。米10年債利回りは前日比6bp高い1.85%。一時は1.87%程度と5月31日以来の高水準を付けた。28日発表の7~9月期の実質GDP(国内総生産)速報値が力強い伸びを示すとの見方が米国債の売りを誘った。

  この日の東京外為市場では円相場が1ドル=105円台で推移した。東京株式相場は上昇。日経平均株価は前日比0.6%高の1万7446円41銭で引けた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証の六車氏は、「米金利上昇に加え、国内株高や円安・ドル高傾向と夏場までのリスクオフ的な流れが変わっている」と指摘した。

日銀国債買い入れオペ

  日銀が実施した今月9回目の長期国債買い入れオペの結果によると、残存期間「5年超10年以下」の応札倍率は3.20倍と、前回の3.62倍から低下した。「変動利付債」は3.62倍と、前回8月の3.93倍を下回った。ただ、オペ結果の相場への影響は限定的だった。

  岡三証の鈴木氏は、「5-10年オペは応札倍率が3倍台だったが、こういう環境下なので、実勢を大きく下回ったわけでもない」と説明した。

日銀の長期国債買い入れオペの結果はこちらをご覧下さい。

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