ストームハーバー証:売掛債権の投資事業、機関投資家向けも開始へ

更新日時
  • 来年1月にも機関投資家向けに国内中小企業の債権を紹介-渡邉社長
  • 運用収益は手数料控除後で12%、取扱高は来期200億円と増勢見込む

米欧などをビジネス拠点とする独立系のストームハーバー証券は、日本の中小企業が持つ売掛債権に投資するファクタリング事業を機関投資家向けにも紹介し始める方針だ。マイナス金利政策で金融商品での運用環境が厳しさを増す中、年率約12%の運用益を確保している同事業で投資家層を広げる。

  ファクタリングは、中小企業の持つ売掛債権を額面より安い価格で買い取り、後で支払企業から代金を満額で回収する事業。現在は売掛債権を国内プライベートバンクなどの富裕層に紹介することで手数料収益を得ている。今年は10月までに累計約100億円を取り扱った。年率12%はストーム証の手数料差し引き後。

  ストーム証の渡邉佳史社長はインタビューで、売掛債権を持つ中小企業からの問い合わせも増えているとし、今期(1-12月)の取扱額は累計で120億円を超え、来期は200億円以上になるとの見通しを示した。「来年1月から機関投資家向けにも紹介する」計画としている。

  日本銀行によるマイナス金利の導入で国内の債券投資家などの運用環境は厳しい。ソニーが9月に発行した年限3年債の表面利率は0.05%。国債金利も低水準が続く中、年12%の運用収益は投資家にとって魅力だ。

ローリスク

  ストーム証が取りまとめるのは技術力がある成長性の高い中小企業の持つ売掛債権。これら企業から部品や製品を購入した者が債権回収先となるが、ゼネコンや電機メーカー、流通会社など大手企業が中心だという。投資家にとっては「実質的に大企業が発行する債券と同じリスクでもリターンは高くなる」と述べた。

  松井証券の田村晋一ストラテジストは、中小企業が大企業向けの売掛債権を担保に銀行に融資を依頼しても「自身の信用力ではなかなか貸してくれないのが実情だ」とファクタリングのメリットを指摘。一方で投資家にとっては利益率は高いが企業の倒産などで「資金を回収できないリスクも出てくる」と述べた。

  渡邉社長はファクタリング事業について「中小企業の資金ニーズを補完するもの」と位置づける。これまで中小企業の要望に応じて短期融資の担い手となってきた大手ノンバンクが銀行傘下でリテール(個人)向け中心の事業に変化したため、こうした資金ニーズを取り込むビジネスは空白地帯になっていたという。

(第7段落に背景などについて追加しました.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE