九州電:6年ぶりにオール電化の宣伝再開、原発再開で需給に余裕

  • 近くテレビCMを開始、競争激化する電力小売市場での「武器」に
  • オール電化の選択は節電に逆行、原発を後押し:有識者
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

九州電力は家庭の消費エネルギーをすべて電気で賄う「オール電化」のキャンペーンを6年ぶりに再開した。原子力発電所の再稼働で全国的に電力の需給が緩和し、電力の小売り事業で攻勢に出る。

  九州電のウェブサイトでは、「イイでしょ!」「ラクでしょ!」「電化でしょ!」との言葉でオール電化を推奨。電気給湯器やIHクッキングヒーターを新たに購入するなどの条件を満たすと、今年震災に見舞われた熊本県の名産品などがあたるキャンペーンを10月1日から実施している。近くテレビコマーシャルも始める。

  同社広報担当の池田新平氏は、川内原発の再稼働で同社エリア内の需給が安定化したことに加え「全国的に電力需給状況が改善した」ことから、オール電化の営業活動を再開したと話した。政府は19日、東日本大震災後初めて初めて冬季の節電要請を行わない方針を示した。節電の定着に加え、8月に四国電力の伊方原発3号機が再稼働したことで電力供給が安定化するとの見方が強まったためだ。

  九州電エリアでは今冬の供給予備率は最低でも8.9%を確保できるほか、卸電力取引市場を活用すれば全国的に最低限必要とされる予備率3%以上を確保できる見通し。需給に余裕が出る中、九州電はさらに玄海原発3、4号機の再稼働に向けた安全審査対応も進めている。

自由化された市場で武器に

  4月1日に電力小売りが完全に自由化されるまでは、大手電力会社が家庭向けの電力販売を独占してきた。九州電の販売電力量は07年の881億キロワット時をピークに減少傾向。池田氏は、自由化された市場で他の電力会社と競争するためには「オール電化は非常に強い武器になる」と指摘する。4月の自由化以降8月末までに九州電から他の電力会社に契約を切り替えた件数は4万8000件と、同社の一般家庭分野の契約数の0.8%にとどまっている。

  特定非営利活動(NPO)法人の気候ネットワークの平田仁子理事は、オール電化を選択すると、夜間も稼働する原発の電気を余らせないよう積極的に使うよう誘導され、「節電に逆行し、原発を後押しすることになる」と指摘する。気候ネットワークでは今よりも原発の稼働数が多かった震災以前に、オール電化にすることで1世帯当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は増えるとの分析結果を得ており、オール電化は「電気の利用促進以外のなにものでもなく、むしろ環境に悪影響」と述べた。

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