金融危機以降に職を失った数千人のトレーダーやセールス担当者に銀行が突き付けたメッセージは、「あなたたちがいなくても大丈夫でした」というものだ。

  米国の5大投資銀行の7-9月(第3四半期)の債券と株式トレーディング収入は合計207億ドル(約2兆1400億円)と、第3四半期として2009年以来の最高となった。調査会社コーリションによれば、欧州勢を含めた世界の10大投資銀行は過去7年でトレーディングと投資銀行の人員を5000人余り減らしている。

ウォール街
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Photographer: John Taggart/Bloomberg

  規制強化と低金利が利益を圧迫するほか電子取引の拡大を背景に、投資銀行は人員を減らしてきた。昨年第3四半期の不振を受けて米モルガン・スタンレーは債券部門のほぼ4分の1に相当する470人を減らした。その結果はどうだったかと言えば、今年第3四半期の債券トレーディング収入は前年同期のほぼ3倍の15億ドルになった。

  モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマン最高経営責任者(CEO)はアナリストらに、「良い四半期になった。25%少ない人員でそれを成し遂げたことは喜ばしい」と語った。

  JPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループ、ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレーの5社を合わせた第3四半期のトレーディング収入は前年同期比26%増だった。いずれも、債券トレーディング収入がアナリスト予想を上回った。予想外だった英国の欧州連合(EU)離脱選択や各国・地域の政策金利についての方向の異なる見通し、マネーマーケット規制の変更などが追い風になった。

残る疑問

  債券トレーディング収入最大はJPモルガンの43億ドル、株式はモルガン・スタンレーの19億ドルだった。

  純利益はトレーディングへの依存が最も大きいゴールドマンで47%増。モルガン・スタンレーは57%増益。JPモルガンとBofA、シティの投資銀行部門の利益も増えた。

  ゴールドマンは今年、債券関連の従業員の10%程度を減らした。これは同社の通常の割合の2倍で、約250人が影響を受けたと米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が1月に報じた。年初の同部門従業員数が約2500人だったことになる。スリム化された同部門の第3四半期収入は前年同期比49%増の19億6000万ドルだった。

  コンパス・ポイント・リサーチ・アンド・トレーディングのアナリスト、チャールズ・ピーボディー氏は電話インタビューで、「ウォール街は相当長い間、実際に行われる業務に対して過剰な人員を抱えていた」と指摘。今や銀行は「経費についての規律と、市場が持続的な回復基調を取り戻した時にてこを効かせられる状態の確保に関して真剣だ」と語った。

  最近の収入増が長く待たれた債券業務回復の兆しなのかどうかに疑問は残る。第4四半期に入って2週間も、勢いは続いたとJPモルガンのマリアン・レーク最高財務責任者(CFO)が先週述べたが、他の業界幹部からは市場の改善が継続するかどうかを明言するのは時期尚早との声も出ている。

  モルガン・スタンレーのジョナサン・プルーザンCFOはインタビューで「1四半期ではトレンドにならない」とした上で、昨年のトレーダー削減をめぐり「当社が下した決定にとても満足している。戦略を変えることはしない」と述べた。

 
原題:Fired Bond Traders Stung Anew as Profits Soar Without Them (1)(抜粋)

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