新発10年物国債、売買成立せず-海外不透明要因で投資家は慎重姿勢

  • 取引不成立は2015年9月24日以来
  • 取引は極めて低調で、誰もやっていないような状況-岡三証

日本の国債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の取引が1年1カ月ぶりに不成立となった。内外の金融政策動向や米国の大統領選挙といった不透明要因を背景に、投資家の取引に対する消極姿勢が鮮明になっている。

  国内債の業者間取引の仲介業者、日本相互証券によると、新発10年物の344回債は19日、売買が成立しなかった。新発10年物の取引が1日を通して不成立となったのは2015年9月24日以来となる。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「売買高が示すように取引は極めて低調で、誰もやっていないような状況だ」と説明。「不透明要因があるからなのか、日銀にイールドカーブをコントロールされるからやる気が出ないのか、自ら積極的に動く向きは少ない」と指摘した。

  日本銀行が新たな金融政策の枠組みを導入してから1カ月が経過した。市場関係者からは、欧州中央銀行(ECB)などの政策動向に加え、米国の大統領選挙といった海外の不透明要因を背景に様子見姿勢が強まっているとの指摘が出ている。

  ECBは20日に金融政策決定会合を開く。5日にはユーロ圏の複数中央銀行当局者の話として、量的緩和(QE)の期間終了前に段階的に買い入れを減らし、月100億ユーロずつペースを落としていく可能性があると報じられたことで、緩和縮小観測がくすぶっている。

ECB金融政策に関するブルームバーグ調査はこちらをご覧ください。

  損害保険ジャパン日本興亜の石崎竜也グループリーダーは、「グローバルに少し金利上昇に対する警戒感が高まっている。ECBを通過するまでは金利上昇を警戒しながら動きにくいという感じではないか」と指摘。来月の米大統領選挙などイベント前で流動性が落ちている面もあるとし、「目先は材料がなく方向感が出にくい展開が続いている」と話す。

  日銀の今後の金融政策についても不透明感が根強く残っている。三菱UFJ信託銀行資金為替部商品課の鈴木秀雄課長は、10年金利はかろうじてマイナス0.05%を付けることはあったが、マイナス0.06%程度で、日銀が示したゼロ%程度から動けなくなっていると言う。「この状況下で国内の入札にも海外の金利動向にもほとんど反応しなくなっている。将来的な金利の深掘りについても半年先、もしくは1年先のことと期待が弱まっていることも、動けない要因にもなっている」と述べた。

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