日本と旧ソ連が共同宣言に署名し、国交を回復してから19日で60年を迎えた。プーチン・ロシア大統領の12月来日に向けて北方領土問題の進展への期待が高まる中、安倍晋三首相は任期中の解決に強い意欲を示している。

  「今を生きる世代としてこの問題を解決していくという強い決意を持って臨みたい」-。安倍首相は17日の衆院環太平洋パートナーシップ協定(TPP)等に関する特別委員会で、北方領土問題と平和条約締結交渉の前進に取り組む意欲を示した。プーチン氏には「お互いに責任感持って自分たちのときに解決しようという強い意志を持って交渉進めていこう」と呼び掛け、基本的に「同意してもらったと思う」とも述べている。

プーチン大統領
プーチン大統領
Photographer: Andrey Rudakov/Bloomberg

  首相は2006年から07年の第1次政権と合わせるとプーチン氏と14回の首脳会談をこなしてきた。外務省によると、今年5月にロシア・ソチで行った首脳会談では、双方に受入れ可能な解決策の作成に向け,今までの発想にとらわれない「新しいアプローチ」で,交渉を精力的に進めていくとの認識を共有した。11月にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合が開かれるペルー、12月15日には首相の地元選挙区内の山口県長門市で会談する。

共同統治案

  国後、択捉、歯舞、色丹の4島は第2次世界大戦末期に旧ソ連軍が侵攻し、そのまま占領した。日本政府は4島は固有の領土であり、帰属の問題を解決した上で平和条約を締結する姿勢をこれまで示してきた。56年の日ソ共同宣言では、歯舞・色丹については平和条約の締結後、旧ソ連が日本に引き渡すことで同意した経緯があり、新党大地の鈴木宗男代表(元衆院議員)らは2島の先行返還を唱えている。

北方領土
北方領土
Bloomberg

  17日付の日本経済新聞朝刊は、日本政府がロシアとの北方領土問題の打開策として共同統治案を検討していることが分かったと報道。歯舞・色丹は日本に返還し、国後・択捉は共同統治とする案を軸に調整に入りたい方針との内容だ。菅義偉官房長官は同日の記者会見で、「そうした事実はない」と否定。18日の会見では、2島先行返還で交渉を進める可能性についても「そうしたことはない」と述べた。
 
  政治評論家の浅川博忠氏は、12月の首脳会談が安倍首相の地元で行われることから、「成果の挙がらないような話し合いをするということはあり得ない。それなりに安倍さんの立場や顔が立つような話し合いになると思う」とみている。

2島プラス

  テンプル大学日本キャンパスのジェームズ・ブラウン准教授は、安倍首相の戦略について4島全て返還にこぎつけるのは難しいと分かっているため、2島返還プラスの成果を目指しているのは明らかだと話す。「問題はそのプラスが何かで、これはまったく分からない。いろいなアイデアを探っているようだ」と指摘、「このことは双方の距離がかなり離れていることを示しているのではかとみている」と述べた。

  仮に北方領土で実質的な前進がなかった場合でも混迷を避けるために、両首脳は12月の会談では何らかの発表をする必要がある、とブラウン氏もみている。

  プーチン大統領は9月、ブルームバーグのインタビューで北方領土問題について「われわれが話し合っているのは、一部の交換や売却ではなく、いずれの側も負けたとか、あるいは敗者だとか感じないような解決策を見つけるということだ」と指摘した。 
  

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