東電債は買いの声も、スプレッド拡大で-新知事よりも廃炉費用

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  • 東電HDのCDSは知事選を受け3.5bp上昇、2月以来の水準
  • 「柏崎刈羽からの収益獲得が遠のきネガティブ」と野村証・魚本氏

16日の新潟県知事選挙で柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に慎重な米山隆一氏が当選し、東京電力ホールディングスの社債やクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドが拡大している。スプレッドが大きく拡大していけば、良い投資機会になるとBNPパリバ証券は指摘する。

  CMAによると、東電HDの5年物CDSのスプレッドは知事選翌日の17日には前週末から3.5ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)拡大し、2月以降で最高の92bpとなった。40年償還の東電債の対国債スプレッドも2.5bp拡大し、108bpとなった。同日の株価は一時8.6%下落していた。
  
  東電は福島第一原発事故以降、国の支援の下に信用力を改善させており、16年度中に社債市場への復帰を計画している。しかし、同原発の廃炉費用が当初予想以上にかさみ、一括計上すれば債務超過に陥る懸念があると広瀬直己社長が5日に発言。さらに米山氏の当選で、収益改善効果が見込めた柏崎刈羽原発の再稼働も難しくなっている。

東電の広瀬社長

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、米山氏の柏崎刈羽原発再稼働への考え方について「(現職知事の)泉田氏と変わらないので、影響は本来はないはずだ」とし、「クレジットスプレッドが広がったら投資妙味がある」との見方を示した。信用力への影響を見る上では「原発の廃炉費用がどうなるかの方が大事だ」と述べた。

  SMBC日興証券の伴豊チーフクレジットアナリストも、廃炉費用は政府の方で検討しているとみており、「東電の信用リスクを取ることは推奨している」と話した。 

  これに対し、野村証券の魚本敏宏チーフクレジットアナリストは、17日付のリポートで知事選の結果、「柏崎刈羽原発からの収益獲得が遠のいたこともネガティブに働く」と指摘した。送配電網の利用料金(託送料金)による利用者負担が増すことなども予想されるが、受け入れられなければ「東電は市場が現時点で想定している以上の窮地に追い込まれる可能性も否定はできない」としている。

(第5、6段落を追加しました.)
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