出光と昭シェルが合併延期-英蘭シェルからの取得は予定通り

更新日時
  • 残念ながら一部ステークホルダーとの協議が進まない状況
  • 合併を建設的に進める環境が十分に整っていない

出光興産昭和シェル石油は13日、合併に反対している出光創業家との間の協議が行き詰まっていることから、2017年4月に予定していた両社の合併を無期限延期すると発表した。出光は、10-11月に予定している英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)からの昭シェル株取得については、計画通り実施する方針も示した。

  両社は発表資料で「誠に残念ながら、現時点においては、一部ステークホルダーとの協議が進まない状況」だとし「本合併を建設的に進める環境」が十分に整っていないと説明。各ステークホルダーと協議する時間を確保するためには、17年4月に統合会社を発足させることや、新たな合併時期を明示することは適切ではないと判断したという。

昭シェル・亀岡社長と出光・月岡社長(千代田区、13日)

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  出光の月岡隆社長と昭シェルの亀岡剛社長は13日に都内で会見し、経営統合に向けた強い思いを強調した。月岡社長は「両社の経営統合はいまなお持続的成長のために最適な組み合わせ、最善の策だと確信している」と主張。亀岡社長は、時期は延期するものの経営統合の方針は「微動だにしない」と述べだ。

  出光は2015年7月にRDSから昭シェル株33.3%(議決権ベース)を取得すると発表し、同年11月には合併による昭シェルとの経営統合に基本合意している。出光がRDSから直接昭シェル株を取得したうえで合併する二段階の手続きをとることを予定しているが、公正取引委員会による企業結合審査の遅れにより、株式取得時期を当初の16年上半期から同年10-11月に延期していた。

創業家の反対

  出光の創業家は6月の株主総会で、昭シェルとの合併に反対を表明。3分の2を超える株主の賛成を必要とする合併は、出光株の33.9%を握る創業家が反対に回ったことで難しくなった。これに加えて、創業者の長男で元社長の出光昭介氏は8月、株式取得の阻止を狙い昭シェル株40万株を取得した。

  これは、同一グループと見なされる出光興産と昭介氏が併せて発行済み株式総数の3分の1を超える株式を取得すると、金融商品取引法上で公開買い付け(TOB)義務が発生することを逆手にとったもの。これにより出光がRDSから二者間で株式を直接取得することも難しくなった。

  SMBC日興証券の塩田英俊シニアアナリストは13日の取材で、「創業家のスタンスが変わらない以上4月の合併は難しい」と指摘する。経営統合を実現するための選択肢としては「TOBという手法は残っている」と述べた。すでにRDSと契約している昭シェル株33%の取得を実現したうえで、グループ会社として連携していく方法も「代替案として考えられる」との見解を示した。

協議に応じて

  月岡社長は「従来のスキーム通りに経営統合を進めていくことがすべてのステークホルダーにとってベスト」と述べ、創業家の同意を得たうえで合併による経営統合を進める考えを示した。3カ月以上協議できていない創業家に対して合併時期を明示しないことで誠意を示し、「直接の協議に応じていただきたい」と呼びかけた。

  期限を示さない形での延期を発表にするにあたり、亀岡社長は同社社員や系列の販売店、株主など全てのステークホルダーの不安を和らげるために会見に臨んだと説明。その上で、計画を「白紙にすることはこれまでの経営統合に向けた努力を無にする、絶対やるべきではない」と強調した。

  RDSの広報担当はブルームバーグの13日の取材に対し、15年7月の合意に基づく出光への昭シェル株売却については考え方を変えていないとし、出光の発表にあるとおり、売却のスケジュールに変更はなく公取委の審査結果を待っている状態と電子メールでコメントした。さらに、昭シェル株の売却は、下流事業を競争力の高いエリアに集約するというRDSの戦略に沿ったものと説明した。

  延期については日本経済新聞が電子版で最初に報じた。この報道後に両社の株はともに2カ月ぶりの下落率を記録。出光株は一時、前日比6.3%安の2165円、昭シェル株は同5.3%安の938円となった。

(記者会見での発言を加えて記事を更新します.)
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