仮想現実元年に本命登場、ソニー端末は生活変えるか-13日発売

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  • 消費者動向見極める試金石と考えられている-元ソニー開発者
  • 家庭内映像体験ではテレビ登場以来のイノベーション-盛田氏

ソニーが13日に発売する仮想現実(VR)端末は、VRがスマートフォンのように人々の生活を変えるかを見極める試金石になるとみられている。「プレイステーション(PS)VR」の売れ行きや使われ方によって、ソニーだけではなく関連業界の動向が左右されることになる。

  「業界内外の多くの人やアナリストたちが、PSVRの発売を本当のテストだと考えている」とソニーでVRのソフト開発に携わり、現在は独立したデーブ・ランヤード氏は述べた。ランヤード氏はPSVRによって「VRが毎日やりたいものなのか、1週間に1時間なのか。どれぐらいの頻度で、どれぐらいの時間使われるか」が明らかになると述べた。

プレイステーションVR

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  VRはゴーグル型端末をかぶることで立体的に見える映像の中に身を置いたような臨場感が得られ、ゲームだけではなく、スポーツや音楽などの用途も想定される。今年はVR元年と位置付けられ、米フェイスブック傘下のオキュラスVRや台湾の宏達国際電子(HTC)が専用端末を発売し、米グーグルも安価な自社製品を発表した。発売台数が4000万台を超えたPS4と接続して使うPSVRは、VR端末の本命とみられている。

どこでもドア

  13日朝に東京・銀座で発売イベントが開かれ、出席したゲーム子会社の日本法人幹部、盛田厚氏は「家庭内の映像体験としては、テレビ登場以来のイノベーションだ」と述べた。その上で「ゲームをする人にとっては夢だった、ゲームの中に入ってプレーすることを実現することになる。どこでもドアやタイムマシンと言ってもいい」と話した。

  PSVRのウェブでの予約販売には購入希望が殺到していた。米ゴールドマン・サックスは7月18日付リポートで、PSVRの出荷台数について今年が150万台、来年は300万台と、オキュラスやHTCの数倍の規模を予想している。価格や独自コンテンツが充実していることが理由。ソニーはゲームを成長領域に位置付けており、今期(2017年3月期)はゲーム&ネットワークサービス領域から、前期比5割増の1350億円の利益計上を計画する。

  新市場を作るという点でソニーは「非常にユニークなポジション」にいると、東海東京調査センターのアナリスト、石野雅彦氏は分析する。PS4の顧客基盤や事前体験イベントでの反応からPSVRが「一定の評価を受ける可能性は高い」という。

  遊べるゲームの充実もPSVRの特徴の一つ。年内に約50タイトルがVRに対応する見込みで、スクウェア・エニックス・ ホールディングスの人気シリーズの「ファイナルファンタジー」やカプコンの「バイオハザード」の新作などが含まれている。

  バンダイナムコホールディングスが開発した「サマーレッスン」では、プレーヤーが家庭教師役になり、少女キャラクターに勉強を教える。VRの特長を生かし、立体的に見えるキャラクターとの触れ合いが楽しめる。サマーレッスンによってVRの長所の一つを発掘できた、と開発に携わった玉置絢氏は言い、今後もVRの面白さを提示していくことによって「家に買っておいてもよいものとして認められる」と述べた。

パソコンに匹敵

  米ゴールドマン・サックスのリポートでは、2025年時点のVRとAR(拡張現実)の市場規模をソフトとハードを合わせて950億ドル(約9兆5000億円)と予想、ノートパソコン(1110億ドル)やデスクトップ(630億ドル)に「匹敵する市場が現れようとしている」と記載した。同リポートによれば、PSVRはPS4の販売台数を生かし、VR市場で大きなシェアを獲得する見通し。

  一方、エース経済研究所の安田秀樹アナリストはPSVRは生産能力や長時間遊びにくいというVR特有の問題から、当初はブームとなるが「持続性はない」と予想する。またコンテンツも不足しているという見方だ。

  PSVRは4万4980円。ソニーは6月に発売日を公表した後、各地のソニーストアやイベントで体験コーナーを設置し周知を図ってきた。13日のソニー株価は堅調で、一時前日比1.7%高の3443円まで買われた。

(第4段落にソニー幹部のコメントを追加しました.)
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