米MMF改革で1兆ドルのパラダイムシフト、米短期債需要を押し上げ

  • MMF改革で米国債に恩恵-ブラックロックやフィデリティ
  • 変動NAVは銀行や企業など借り手に打撃に

米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)業界にとって過去30年で最大の改革が近づく中、大手運用会社は投資家の資金配分に永続的な影響をもたらすと指摘している。

  2兆7000億ドル(約280兆円)を運用するMMF業界は規制当局との数年にわたる論争を経て、主に国債以外の高リスク証券で運用する機関投資家向けMMFの基準価額(NAV)の固定制を断念した。

  近々実施される改革は米政府にとってはプラスだが、銀行や企業などの資金調達には痛手となっている。「プライムMMF」と呼ばれCDなどで運用するこうしたファンドから投資家は既に1兆ドル余りを引き揚げ、政府債だけで運用する「ガバメントMMF」に殺到している。ガバメントMMFはTビルなど短期の米国債で運用しており、今回の改革は適用対象外。米投資信託協会(ICI)の2007年以降のデータによれば、ガバメントMMFの資産は昨年12月より前には40%を超えたことはなかったが、現在では全てのMMF資産の77%を占めている。

  1口当たり1ドルの固定NAVは従来、こうした高利回りのMMFが銀行預金と同様に安全との認識を投資家に与えていたが、10月14日に変動制に移行する。今回の改革は、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが発行した証券で運用していた「リザーブ・プライマリー・ファンド」が金融危機で破綻し、他のプライムMMFでも取り付け騒ぎが広がった事態を踏まえ、MMF業界の安全性と透明性を向上することを目指している。

  ただ、ブラックロックやフィデリティ・インベストメンツ、バンガード・グループはこうした米政府債への資金殺到について、米政府の資金調達コストを抑制する長期的変化と受け止めている。改革は銀行や企業など借り手にも大きな影響があり、これらの企業の証券を買うプライムMMFからの需要が細り、資金調達コストは上昇している。

  MMFの提供で米首位のフィデリティの債券担当社長ナンシー・プライアー氏は「これらは永続的変化だ」と述べ、「MMFの特性が変化したため、投資家の選好が市場でのこうした多額の資金シフトにつながった。政府債ファンドの資産はプライムファンドの資産を上回り続けるだろう」と予想した。  

原題:A $1 Trillion Paradigm Shift Is Boosting Demand for U.S. Bills(抜粋)

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